農学部研究紹介2018-2019
6/48

分子細胞微生物学研究室細見昭助教2008年3月愛媛大学連合農学研究科修了。理化学研究所の研究員を経て、2016年4月より現職。細胞内のタンパク質の挙動に興味がある。真核生物のモデルである酵母を使い、生化学及び分子生物学的手法を用いて、細胞内のタンパク質輸送やタンパク質分解の研究を行っています。真核生物は原核生物に比べて複雑な細胞内構造を有しています。タンパク質がその複雑な内部を通り目的地に正しく輸送される事は真核細胞の正常な機能に重要です。また、タンパク質は正しく作られなければ機能を発揮しません。しかしながら、全てのタンパク質が正しく作られるわけではありません。このような“異常”タンパク質を分解する機構もまた真核細胞の正常な機能に重要です。本研究室では、タンパク質がどのように輸送及び分解されるのかを調べています。分子生物学という概念が提唱されて半世紀以上経ち、様々な研究手法が開発され、生命の理解が飛躍的に進んできました。その中で、酵母は真核生物のモデルとして大いに利用されています。酵母は古来から発酵に利用する生物として役に立ってきましたが、今は最先端の研究材料でもあります。この酵母を用いて、未だ明らかになっていない生命現象を明らかにすること、さらに、それを利用して、酵母でのタンパク質生産に利用したり、創薬のターゲットを見つけるのが研究の目的です。生化学的、分子生物学的な手技が身に付きます。研究を通して、物事を客観的に捉え論理的に解決するトレーニングを行います。また、就職活動のサポートも行います。ĉข༂܅܆؇༂Ѕ̇ఈ؆にしてȅ༂ABCDABC研究から広がる未来卒業後の未来像寒天培地上での酵母の生育写真。遺伝子の違いによって生育度合いが異なる。酵母の蛍光顕微鏡写真核の染色小胞体の染色二重染色生命機能科学コース小嶋政信教授筑波大学大学院化学研究科博士課程修了(理学博士)。信州大学助手、講師、准教授を経て2001年より現職。LEDの特性を活用する植物・菌類の光応答現象の解明と、その技術応用に関する研究を進めている。実験室には、数種の可視光LED照射装置、化学分析用関連機器、分子生物学研究関連機器が設置されている新型インフルエンザ治療薬「タミフル」の製造原料となるシキミ酸を、ヒラタケ菌糸体内で飛躍的に増加させる光技術を開発した(世界11ヶ国に特許出願中:PCT/JP2012/070017)光制御化学研究室では、信州特産のソバとキノコを研究材料とし、発光ダイオード(LED)の特性を利用して、ソバカイワレの光応答挙動や、ヒラタケ菌糸の一次代謝産物に及ぼす光刺激の影響を解析しています。既に、「カイワレとキノコ菌糸の生長形態形成や代謝産物経路を光刺激により制御し、付加価値を産出させる技術」の開発に成功しています。本研究成果は、今後農業の未来を切り拓くことができる農産物の新規光栽培技術の開発や、医薬及び農薬等の製造原料や生理活性物質となる有用物質をキノコ菌から生産する技術に繋がるものと期待されています。植物・菌類の光応答現象の解明に関わる研究を通して、人工光源としてのLEDの特性や、生物の生育環境因子としての光の影響を詳細に学習することができます。卒業後は、食品製造系会社、化学分析系会社、医薬・農薬製造会社で活躍できる人材として期待されています。野菜やキノコの生長・形態形成・代謝には、光は重要な影響を及ぼす環境因子であることは経験的に理解されています。しかし、光波長・光強度・照射時間・明暗周期を厳密に制御した分子レベルでの研究は、これまで報告されていません。野菜やキノコの光応答現象を、光科学、生化学、並びに分子生物学の知識と技術を融合して解析し、この境界領域研究から学術的新知見を獲得するとともに、その知見を産業上に利用しようとする斬新で将来有望な研究として評価されています。ソバカイワレ菌糸体コロニー野菜・キノコの光応答現象を解明し༈आ܆܆ȅȆ光制御化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像2生命機能科学コース

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る