農学部研究紹介2018-2019
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平松晋也教授高知大学農学部助教授を経て、2005年より現職。研究分野は砂防学で、崩壊や土石流の発生メカニズムや予測手法に関する研究を行っている。霧ケ峰高原で実施した登山道侵食に関する現地観測と散水実験。一連の研究成果は、(公社)砂防学会から優秀発表論文賞を授与された。平松研究室では、“山岳地域での土砂生産・流出の原因や土砂災害の対策”に関する研究を行っています。崩壊や土石流などによる土砂災害の発生のメカニズムをはじめとして、森林斜面の土層内に分布している樹木の根系や土の中に形成されたパイプの存在が斜面の安定性に及ぼす影響度評価や森林の伐採が土砂生産に及ぼす影響など、森林の土砂災害抑制機能の定量化やその限界を明らかにしようとした研究も行っています。最近では、一度発生すると大規模災害を引き起こすことになる深層崩壊のメカニズム解明に向けた研究を開始しています。基礎学力と応用力を身につけるだけではなく、論文作成を通して文章作成やコミュニケーション能力を身に着けた4年生・大学院生は、主に国や県、建設関連企業の技術者として活躍しています。災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生を目指して研究室では、流域内で生産されたり流出する有害な土砂を効率的にコントロールすることにより地域住民の人命や財産を守ることを目的とした研究をしています。最近多発している大雨によって、全国各地で土砂災害が数多く報じられており、本分野は以前にもまして重要になっています。自然の猛威に打ち勝つことはできないかもしれませんが、その力をうまくコントロールすることのできる手法や技術を開発することにより災害に強い快適な生活圏と持続可能な生物生産基盤の創生が可能となります。森林の土砂災害抑制機能その限界の定量化に向けた研究の推進(森林は、我々の生活をどれだけサポートしてくれるんだろう?)土層内部での雨水の挙動の観測:根系周辺崩壊によりむき出しになった樹木根系(森林の崩壊抑制効果はどこまで期待できるの?)腐朽根Φ5.0cm採水部の概要活性根森林土壌採取用100ccサンプラーആ܅༄ąଅਇଅ研究から広がる未来卒業後の未来像܆・環境共生学コース治山学研究室治山学研究室では、森林の水源涵養機能(緑のダム機能)や、表面侵食・崩壊などの山地災害に関する研究を行っています。森林の水源涵養機能については、大学演習林等に試験地を設け、気象・土壌水分・河川流量などの観測を行い、長期的にデータを取得しています。とくに、「森林の水源涵養機能の本質」とされている森林土壌の働き(保水性、浸透・透水性)について、より詳しい研究を行っています。土壌保全を通して、森林の水源涵養機能を高めるための森林管理方法の開発を目指しています。水は私たち人間の生命維持に不可欠なものであり、毎日の生活にも欠かすことができない重要なものです。我が国の場合、水道の水のほとんどは、水源地帯である森林の土壌の中を一旦通過してきたものです。普段意識していないかもしれませんが、私たちの生活は森林と強く結びついているのです。水源涵養機能に大きく影響する森林土壌の働きを明らかにし、土壌保全につながる森林管理方法を開発することは、私たちの生命・生活を守ることを意味します。森林と人間が共生することは、私たちの生命・生活、そして森林を守ることにつながるのです。小野裕助教信州大学大学院、名古屋大学大学院を経て1990年より信州大学農学部。森林の水源涵養機能に大きく影響する森林土壌の働きについて研究を行っている。現在、荒廃した土壌の回復過程について研究中。試験流域に流量観測施設を設けて、流量を長期的に観測している(信州大学手良沢山演習林)単粒構造の土壌に比べ団粒構造の森林土壌では孔隙(隙間)が多く水が浸み込みやすい܆ഇਆ؆܆༂ఈฆ༄ą؇̆ఆ༂ଅー森林の持つ機能を、理論と体験の両面からとらえることによって、自然の重要性や、自然現象を貫く原理や法則を理解し、突発的に起こる事象への適応力が身につくでしょう。卒業後は国家や都道府県等の公務員、環境調査会社等で主体的に活躍できる人材となるでしょう。研究から広がる未来卒業後の未来像܆・環境共生学コース29

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