農学部研究紹介2018-2019
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蔬菜・花卉園芸学研究室北村嘉邦助教2010年1月より信州大学農学部。園芸生産の現場に足を運び作物の生理生態の制御一般に適用し得る現象を抽出し,研究テーマとすることが基本方針。未来の園芸生産を背負う新規品目の開発にも注力。開花中のアジサイ(左)と開花終了後のアジサイ(右)。開花中のアジサイを切り花にすると数日で枯れてしまうが,開花終了後のものを切り花にすると数週間生存する。多くの植物では開花終了後に放棄される花器官を恒久器官として維持する機構が働いている可能性が高い。新たな切り花延命技術の開発につながる現象。長野県オリジナルの変異品種の起源と変異機構,冬期に問題となる花色発現の不安定化の発生機構,次世代の長野特産花卉の立ち上げに向けた園芸植物の生理生態特性の解明,の各テーマについて研究を進めています。植物における変異発生制御,環境因子に対する未知の生態反応,花器官に対する維持制御,開花回数の制御等に関して,園芸学のみならず植物科学一般に適応し得る新規な知見が得られます。当然,テーマは園芸生産現場から抽出しているので,研究成果は生産現場にも還元されます。植物を取り扱う職場一般で必要とされる,ラボワークの基本,植物の管理技術が身につきます。また,定期的に行うゼミや研究進捗状況の報告会を通じて,プレゼン能力、コミュニケーション能力を磨きます。植物を扱う各種の職種で活躍出来る人材になりますが、植物を扱う職場は多くはありません。どんな分野でも活躍できるよう,研究室生活の中で皆さん自身が良い方向に変化するサポートができればと思います。園芸学の立場から,生命現象をたどり,優れた園芸作物や管理技術を作り出すための基礎研究を行い,持続的な園芸生産に寄与することを目指しています。研究の過程では園芸生産一般に拡大適用し得る視点を必ず盛り込み,園芸科学一般の発展に貢献することを心がけています。園芸植物に見られる生命現象には様々な生理生態反応が関わっています。その一つ一つを明らかにする過程で,園芸生産現場において役立つ技術を開発してゆきます。一般的に知られるシンテッポウユリ(左)と長野県オリジナルの変異品種であるグリーンリリーアルプ(右)。グリーンリリーアルプのクローンを増殖すると,散発的にシンテッポウユリに復帰する個体が出現する。花器官の形態形成に関与する遺伝子に,可逆的な変異が存在する可能性が高い。園芸植物における変異発生制御を解き明かすヒントが得られる。園芸生産の場から植物の生命現象を解き明かし、生産技術に回帰する研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース栽培学研究室春日重光教授長野県中信農業試験場、長野県畜産試験場等を経て、2002年4月より信州大学農学部。この間ソルガムなどの飼料作物の育種に従事してきた。現在は、飼料作物、園芸作物などの品種改良や栽培に取り組んでいる。༄ȇ̆༂؇̆Ȇ̆༏ЅਇԆȈ܅ȆԆԅ܅༏私たちは作物の品種改良および作物栽培の立場から,実際の農業現場で利用可能な新品種の育成と栽培技術に関する基礎研究を行い,環境に調和した低投入持続型農業に寄与することを目指しています。各種農業資材や微生物資材等を用いた作物栽培の研究でも、実際の農業現場で利用可能な技術になることを心がけています。本研究室では今日までにソルガム、ヤマブドウなどの新品種育成を行い、現在はこのほかに洋なし、ライムギ等の品種育成と栽培・利用方法の改良に励んでいます。作物の品種改良、栽培等に関する試験を通して、実際の作物および品種改良に関する技術と安全で効率的な農作業の方法が身につきます。卒業後は農業関係の指導員や種苗会社、食品会社等で活躍出来る人材になります。研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース栽培学(春日)研究室では、ソルガム、ライムギなどの飼料作物や水稲、ヤマブドウや洋なしなどの果樹類、イチゴ、セルリーなど野菜類などを素材として、品種改良も含め微生物資材や施設栽培なども利用した栽培方法の改善に取り組んでいます。環境に調和した低投入持続型農業を目標に、飼料作物では品種改良を基にした栽培・利用方法の検討を行い、水稲および園芸作物では微生物資材等を利用した低コスト、高品質栽培に取り組んでいます。未出穂型ソルガムソルガム未出穂型新品種の育成と育成中の極早生ライムギ新系統LS-ⅡおよびLS-Ⅴ洋ナシの品種改良と栽培・利用に関する研究新系統LR-20新系統「貴房」新品種「信大W-3」ワイン用ヤマブドウの品種改良と栽培・利用に関する研究22

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