農学部研究紹介2018-2019
24/48

動物生態学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像泉山茂之教授2006年信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター准教授、2010年より現職、研究分野は哺乳類学、野生動物管理学。(写真一枚or複数枚組み合わせ)過酷な山岳環境に生息する野生動物の長期研究を進めています(写真一枚or複数枚組み合わせ)人間と野生動物とのよりよい関係を目指して努力を続けています中部山岳地域の山岳環境保全を目的として、野生動物の長期生態研究を実施しています。生息条件が厳しい高山・寒冷環境下において、野生動物たちがどのような手立てで生きているのかを明らかにするための研究を行っています。人間と野生動物との、より良い関係を目指して、野生動物の保護管理への取り組みと、農林業被害防除技術の普及を行っています。野生動物による農林業被害の軽減のため、研究成果をもとに、防除技術の普及に取り組んでいます。ニホンザルは、なぜ槍ヶ岳を目指すのかー過酷な山岳環境を生き抜くー公務員、博物館、教員、測量・コンサルタント、JA上伊那、民間(木材)、大学院進学など、大自然と真っ正面から向き合う仕事ばかりです。豊かな自然環境に恵まれた日本アルプスを調査・研究の拠点とし、生息環境が厳しい寒冷・高山環境に生息する野生生物についての長期にわたる基礎的な生態研究と、グローバルな気候変動や自然環境の変化による、陸上生態系の推移の把握と、将来の予測を行う。さらには、中部山岳地域における調査・研究を核としつつ、アジアや地球規模での山岳における調査・研究との比較や、共同研究を進める。動物資源生命科学コース動物生態学研究室瀧井暁子助教野生動物調査会社勤務などを経て信州大学大学院総合工学系研究科修了。博士(農学)。2016年より現職。ニホンジカの季節移動や分散、ツキノワグマの行動生態などを主に研究。被害対策や普及啓発も行う。長野県は山岳地域のため、野生動物は人間の生活圏に近接する身近な存在である一方で、野生動物と人間の軋轢が生じています。農作物被害や人身事故のほか、ニホンジカの過食圧による植生劣化などが問題となっています。これらの問題解決は簡単ではありませんが、まず相手を知ることが基本となります。ニホンジカやツキノワグマを主として、行動追跡調査から得られたデータの解析を行い、問題解決にむけた取り組みにつなげていきます。近年は、長野県の伊那地域を中心にツキノワグマの行動範囲や冬眠場所を明らかにする研究を行い、これらのデータを地域住民の安全対策などに生かす取り組みを行っています。野生動物を知るためには、その生息地である森林を知る必要があります。ツキノワグマやニホンジカなどが人知れず生活している山を歩くときの表現しがたい緊張感や痕跡を見つけた時の喜びは、大学生活における財産となるでしょう。四季それぞれの木々や草花の変化を観察しながら、研究対象の野生動物の生態についてデータを記録します。テレビや新聞でニホンジカは害獣、という見方をしている人も彼らの生態を明らかにすることで見方が変わると思います。フィールド調査や膨大なデータとりまとめに要したバイタリティーは社会人となってから貴重な財産となります。論文作成により得られる論理的思考と文章力は今後の社会生活に不可欠であり、様々な分野で活躍が期待されます。༂܅Ѕค܇༂ȅ༏問題解決にむけて相手を知るA研究から広がる未来卒業後の未来像霧ヶ峰高原におけるニホンジカの群れ。霧ヶ峰には年間を通して定住する個体と主に夏季滞在する季節移動個体が生息する。ツキノワグマの冬眠場所の探索。冬眠場所はクマの種の存続にとって重要だが不明な点が多い。20動物資源生命科学コース

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る