農学部研究紹介2018-2019
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河原岳志准教授九州大学で博士号を取得後,2002年4月より信州大学農学部に赴任。動物の細胞培養や細胞工学技術を学び,本専攻所属後はこれを活かした食品の機能性評価研究を手掛ける。アレルギーの症状を引き起こすマスト細胞(肥満細胞)やアレルギーモデル動物を用いた試験により抗アレルギー作用が期待できる食品素材が多く発見された。皮膚角化細胞を起点とした炎症誘導作用を抑える食品由来成分の新規機能性を見出し機能性化粧品素材として応用した。これまで得られた研究成果は,国際的な学術誌での発表という形で世界に向けて情報発信しています。また近年では研究成果を活かした製品開発にも協力しており,一般の方々にも商品という形で成果に触れていただく機会ができました。医療費の増大が問題となるなか、食品の機能性に対する期待が高まっていると感じています。今後もこのような活動を通じて地域と世界を結ぶ架け橋として貢献していけたらと考えています。食品の機能性探索や開発を目的として活動する研究室のため,卒業生のほとんどは食品に関わりのある業界の仕事に就いています。培養細胞の様々な応答を手掛かりに,食品の新規機能性を̆ഇ༅༂河原研究室では,生体の不都合な応答によって生じるアレルギーや様々な炎症性疾患の症状を緩和できるような機能性食品素材の探索を行っています。山地に囲まれた信州の地には,未だ機能性が明らかにされていない食品素材が多く眠っています。免疫細胞や腸管上皮細胞,皮膚角化細胞など,病態の鍵となる種々の細胞の生物学的応答を手掛かりに未知の機能性を見出し,一人でも多くの人の健康に役立てられるよう研究に取り組んでいます。近年では有用な機能性をもつ食品由来成分を、化粧品向けの素材として応用していく研究も手掛けています。機能性畜産物製造学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コースTh2細胞好酸球などケモカイン産生抑制QSEB細胞肥満細胞IgEオリゴDNA入り?健康であることは、全人類の望みです。近年、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、食品の果たす役割は極めて大きなものとなっています。下里研究室では、食と健康をキーワードに、食品による免疫調節機能について追求しています。とくに微生物のゲノムDNAが有する免疫機能について、解析を進めています。また、全く新しい機能を有する乳酸菌をデザインし、様々なアプローチから「スーパー乳酸菌」の創製を目指しています。将来的には、科学的根拠に基づく新たな機能性食品・飼料素材の創製を実現させたいと考えています。下里研究室では、21世紀予防医学の時代に先駆け、農学生命科学分野から、人類の健康維持・増進に寄与する基礎研究を進めています。具体的には、機能性オリゴDNAグループと乳酸菌粘膜ワクチングループに分かれて、学部生から大学院博士課程までの学生さんが、日々研究活動に没頭しています。今後は、機能性DNAと乳酸菌を絡めた新たな概念を打ち立て、信州発の“食べる”乳酸菌ワクチンの創製を目指します。大学院(修士課程・博士課程)への進学の他、就職先としては、主に食品メーカーや製薬メーカーに卒業生を輩出しています。また、研究室では「自主性の強化」に重点を置いています。研究課題の解決に向けて、方策を徹底的に考え、研究計画の企画・立案、実験による検証と成果発表(論文作成とプレゼンテーション)に至る一連のプロセスを重視し、指導しています。下里剛士准教授米国食品医薬局、米国国立ガン研究所・博士研究員、信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点・テニュアトラック助教を経て、2012年より現職。研究分野は、動物生命科学・分子生命工学・食品免疫学。“食べる”DNAアジュバントの開発と乳酸菌粘膜ワクチンの創製100nm経口用DNAナノカプセルの開発に成功食べるオリゴDNA研究高機能性乳酸菌を…☆探す☆デザインする☆創る乳酸菌ワクチンの創製研究免疫抑制型オリゴDNAの2次構造モデル1% DNA50〜200 nm99% Capsule組換え乳酸菌の開発ワクチン効果の検証疾病モデルマウス経口投与オリゴDNAは、感染症、ガン、アレルギー、炎症性疾患の予防・軽減など、幅広い作用が期待されてる機能性分子です。私たちは、オリゴDNAを100 nm程度のカルシウム性ナノ粒子に包摂した、「DNAナノカプセル」を開発しました。現在は、様々な疾病モデルマウスを用いてDNAナノカプセルの経口投与試験を実施し、作用効果の検証を進めています。これまで乳酸菌は、健康効果を担うものとして発酵食品の製造に積極的に利用されてきました。しかし近年、有用物質の生産体や運搬体としての役割、すなわち「乳酸菌粘膜ワクチン」の開発が期待されています。私たちは、人類の健康維持・増進という観点から、様々な乳酸菌組換え体を作出し、乳酸菌粘膜ワクチンの開発基盤の構築を進めています。分子生命工学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース18

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