農学部研究紹介2018-2019
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生物資源研究室動物資源生命科学コース研究から広がる未来卒業後の未来像上野豊助教酪農専門農協勤務を経て、2012年2月から現職。専門分野:動物栄養学、応用微生物学モットー:「昨日の?を今日の!に」それぞれの動物にとって最高のレシピを探そう従属栄養生物である動物が生きていくにはまず食べなければなりません。動物ごとに、生きる目的や、食べたものを自分の体に取り込む仕組みは異なり、必要な栄養やエネルギーも動物によって変わってきます。では、それぞれの動物にとって最も価値のある「食」とはいったいどのようなものでしょうか?わたしたちの研究のゴールはこの問いの答えを出すことです。実験台上で遺伝子や微生物と向き合うこともあれば、別の時間には、野外に出て牛などの動物と接することもあり、健康をはぐくむ豊かな食の実現と、家畜がその能力を発揮できる効果的な飼養法の開発に向けた研究に取り組んでいます。動物の栄養を考えるうえで、体の中にいる微生物の存在と役割について理解することが欠かせません。体内の微生物とうまく付き合っていくために動物は何を食べればよいか?そして何をしたらいいか?そんな調節方法が見つかれば、より健康で有意義な日々を送ることが可能になるかもしれません。公務員、民間企業(食品、畜産)への就職が主です。どのような道を進むにしても、毎日の食事に関心を持ち、資源(めぐみ)と生命(いのち)への感謝を忘れないでいてほしいと思います。リモートセンサーを使ったウシ反芻胃のpH連続測定(世界初)ข؆ԉ༄pHとなるウシでは特定の菌が多い…なぜ?動物資源生命科学コース༈ԇȇȅ༂ଆฆԆ̅成分を生かして、捨てるものを資源に変える皆さんは、「ソロモンの指輪」って知っていますか?ソロモン王が動物たちと話すときに使う道具のことです。しかし現実の世界に、そのような指輪は存在しません。ヒトと言葉を交わすことができない動物の気持ちを理解できる唯一のツールが動物行動学です。私たちの研究室では、ウシやヒツジといった農用動物(家畜)、動物園で飼育されている展示動物、農林産物を食い荒らすニホンジカなどの野生動物を対象に、彼らがストレスを感じることなく生活できる環境を提案し、両者の良好な関係が築ける生産、飼育環境、生息環境の構築を目指しています。私たちの暮らしは、様々な点で、動物たちと関わっています。例えば、「HappyCow,HappyLife」で表される様に、幸せな生活環境で飼育されている乳牛は乳量も多く、生産されたミルクの質も高いので、私たちの生活の質を向上します。また動物園では、環境エンリッチメントという手法を駆使して表現された動物たちの生き生きとした姿を見ると、私たちの心は和み、彼らを通して、自然環境への関心、理解度を高め、心豊かな社会に貢献します。一方、農林地や国立公園では、シカの食害が社会問題となり、動物の行動特性を利用した被害防止対策、個体群管理技術の開発により、野生との健全な関係を築くことができます。動物の飼養管理システムの構築は、動物行動学のみならず、多面的なアプローチを必要としています。卒業生は自ずと、目前の事象を多面的に捉える能力を身に付けます。卒業後は、技術指導者、専門機関での動物飼育管理者等として活躍できる人材として社会に飛び立ちます。竹田謙一准教授2000年信州大学農学部助手を経て、2008年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員を併任。専門は、応用動物行動学、家畜管理学。動物福祉に配慮した家畜の飼養管理、野生動物管理に興味を持って、研究を進めています。ȅȇఆ̆ЇईȅȇȈअԉ༄ଇ༅༂ȅȇ༂ȅଅคԇ行動観察から乳牛の肉体的、心理的状態を把握し、調査牧場における乳牛の動物福祉(アニマルウェルフェア)を評価しています。飼育動物という観点で展示動物も研究の対象です。また、野生動物による農作物や希少な高山植物の食害防止も研究テーマの1つです。動物༂ȅଇЇ学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース17

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