農学部研究紹介2018-2019
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藤井研究室は、ゲノム情報の発現と機能制御機構を解析し、生命の基本的メカニズムの解明とその研究成果を予防医療や創薬に応用することを目指しています。疾患の多くは遺伝因子だけではなく、環境因子との複雑な相互作用よって引き起こされると考えられています。特に、生活習慣病や癌などは、環境因子(食物など)が引き金になっていると考えられています。これらの加齢性疾患は、高齢化社会を迎えるにあたって、今後益々増加することが予想され、予防医療および創薬のターゲットとして極めて重要な研究分野になると考えられています。超高齢化社会を迎える我が国において、健康維持・増進による疾病の予防と、健康長寿の実現が極めて重要な課題となっています。藤井研究室では、この課題を解決するために、ゲノムの発現と機能を生化学・分子生物学的手法で解析し、生命の基本的メカニズムの解明とその研究成果を加齢性疾患(癌、生活習慣病、神経変性疾患など)の予防・治療法の開発や創薬の開発へ応用することを目指しています。ゲノム科学・分子生物学・生化学などの知識や技術を修得し、生命科学分野の重要な課題に挑戦するために必要な能力が身につきます。卒業後は、化学・食品・製薬関連の企業で活躍できる人材になります。藤井博教授新潟大学医学部准教授を経て2007年1月より信州大学農学部。ゲノム情報の発現と機能制御機構の解析により、生命の基本的メカニズムを解明し、研究成果を予防医療や創薬の開発へ応用することを目指す。ゲノム情報の発現と機能を解析し、生命現象の仕組みの解明とその応用を目指す!ヒト癌細胞を用いてゲノム情報の発現と機能を分子・細胞レベルで解析癌の転移原因遺伝子FABP5の遺伝子発現制御機構および転移促進機構の解明とFABP5遺伝子を標的とした創薬の開発分子細胞機能学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース鈴木俊介助教東京工業大学、東京医科歯科大学、メルボルン大学を経て、2012年より現職。専門は分子生物学、比較ゲノム学等を用いた哺乳類のゲノム機能の進化に関する研究。ヒトゲノムに秘められた人類進化の軌跡を読み解く鈴木研究室の研究は、人類がサルの仲間からどのように進化してきたかという、誰もが興味を抱く、地球史上非常に重要な問いの答えにつながっています。それと同時に、私たちのゲノムが抱えている、癌などのヒトに多い疾患のリスクを新たに明らかできる可能性を秘めています。進化的な観点から、なぜヒトがある病気になりやすいのかを理解する、こうした研究の積み重ねは、将来的に、病気の原因や分子機構をより深く理解し、対策につなぐために不可欠です。培養細胞を用いた遺伝子操作実験や遺伝子解析の基本が身につきます。自分自身の頭でアイデアを練り、計画を立てて実行することができる、どこに出ても活躍できる主体的な人材に育ってほしいです。培養細胞をもちいてさまざまな遺伝子操作実験をおこなう研究テーマごとに班に分かれてチームワークで研究をすすめるゲノム進化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コースヒトゲノムの約半分は,動く遺伝子あるいは可動性遺伝因子とも呼ばれる,レトロトランスポゾンとその残骸が占めています。ゲノムへのレトロトランスポゾンの新規挿入は,その周辺に存在する内在性遺伝子の発現調節を変化させることがあり,遺伝子の発現調節機構の進化を推進する可能性を秘めている一方で,遺伝子発現異常による疾患につながる例が知られています。鈴木研究室では,人類がチンパンジーとの共通祖先から分岐した後にヒトゲノム特異的に挿入したレトロトランスポゾンのもつ内在性遺伝子の発現調節機能の解析を通して,レトロトランスポゾンと人類の進化および疾患との関連性を明らかにすることを目指して研究を行っています。8

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