NOW108号
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07「脳神経科学最前線」「未来の医薬品開発」「バイオエンジニアリング・ものづくり新産業の創成」(講義一覧はP08を参照)などをテーマに、理化学研究所からの多彩な講師陣を迎え実施したオムニバス講義は、全8回を終え盛況のうちに幕を閉じました。全国の大学と連携協定を結んでいる理化学研究所にとっても、このようなスタイルの連携講義を受け持つのは珍しいそうです。信州大学と理化学研究所との連携が初めて実現したのは、平成25年。信州大学を中核機関とする文部科学省革新的イノベーション創出プログラム事業(COI STREAM)に、理化学研究所から前田バイオ工学研究室(前田瑞夫主任研究員)と杉田理論分子科学研究室(杉田有治主任研究員)が参画したことがきっかけでした。その後、連携・協力の推進を目的とした協定を平成28年3月末に締結。クロスアポイントメント制度(※)等を活用して信州大学に連携研究室を設けるなど、相互の結び付きの強化を図ってきました。今回、この講義は教育面での成果となっただけでなく、理化学研究所の最新の研究内容が信州大学内に広く周知されるという効果もあり、研究面での連携推進も期待されます。第1回目に登壇した前田主任研究員10人の講師がつなぐ講義は理研にとっても特別な試み第1回は『理研への招待』理研の全容とバイオ工学の世界を紹介は、「理研への招待」と題し、理化学研究所の概要を説明しました。「理研は世界の主要な研究機関・大学と比較しても高い被引用論文比率を持ち、研究機関として高いレベルを維持しています」と前田主任研究員。理化学研究所が年1300人前後の大学生を国内外から受け入れていることについても紹介し、「信州大学との連携を深める中で、学生の皆さんにも将来を考える際、理研をひとつの選択肢に入れてもらいたい」と呼びかけました。続いて、「DNA-合成高分子複合体(DNAコンジュゲート)の合成とナノバイオ応用」と題し、前田主任研究員の研究内容についての講義が行われました。専門は、バイオ工学。中でもDNAを研究材料として扱っています。ナノメートルサイズの微粒子に「1本鎖DNA」をブラシ状に固定した“理研”研究者が信大に集結最先端研究の講義を開講!※研究者等が大学、公的研究機関、企業の中で、2つ以上の機関に雇用されつつ、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度信州大学大学院は、平成29年度後期授業の中で国立研究開発法人理化学研究所(通称:理研)の第一線で活躍する研究者を講師として迎えたオムニバス講義「科学技術政策特論―理化学研究所に見る最先端研究の動向」を開講しました(10月4日~11月22日・毎週水曜日)。全8回の講義は松本、長野、上田、伊那の各キャンパスを回りながら実施され、遠隔講義システムで全キャンパスに配信されたほか、一般にも公開。多くの学生たちや一般聴講者が最先端研究に携わる講師陣の講義に耳を傾けました。その記念すべき第1回目の講義は10月4日に松本キャンパスで行われ、理化学研究所の前田瑞夫主任研究員(信大‐理研連携研究室教授)が登壇しました。その様子と共に、今回の講義の趣旨とそれに至った背景、信州大学と理化学研究所との関わりについてもご紹介します。(文・柳澤 愛由)理化学研究所

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