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バルセロナ市は、国とは別に独自の政策を実施しています。私達はその政策を学ぶため、バルセロナ市役所を訪問しました。バルセロナ市は独自の環境目標を掲げ、10個の行動指針が書かれたガイドブックを市民に配布しています。それに取り組もうとする団体は、指針から実施可能なものを選定し、協定書に同意をすると市からサポートが受けられます。このように環境活動について、どんな団体でも取り組みやすいように工夫されていました。その他にも市では様々な「貸出サービス」を実施しています。例えば、プラスチックコップの貸し出し。使い捨て紙コップの使用を少なくするための取り組みで、パーティー等でよく利用されるようです。バルセロナ市は市全体でまとまって環境活動に取り組んでおり、市民の意識も高く、全体として良い循環が生まれていると感じました。「マイクロネットワーク」という取り組みもありました。再生可能エネルギーで発電した電気を個人・団体でシェアするというものです。ただし、太陽光パネルについては景観保護との兼ね繊維学部化学・材料系応用化学課程(2年)  勝見 志穂さん バルセロナ市が進める独自の環境政策について03REPORT合いで普及が難しいという側面もあるそうです。環境と社会との調和の難しさも考えなくてはならない課題だと感じました。私は化学を専攻しています。以前、ベトナムやタイを訪問したことがあり、その時途上国での環境汚染の現状を目の当たりにしました。今回の研修は、途上国とスペインの現状を比較することで今後の研究に活かしていきたいと思い、参加しました。最初はそうした興味のみだったのですが、今回、スペインの大学で行われている最新研究について知ることもでき、興味の幅がさらに広がっています。貸し出し用コップスペインではワインの生産も盛んです。今回、私達は「TORRES(トーレス)」というワイナリーを見学しました。トーレスは、ブドウ栽培300年、ワイン製造140年という歴史を持つワイナリーで、スペイン随一のワイン生産量を誇ります。それだけでなく、経営者の環境意識が非常に高く、様々な環境保全の取り組みを行っているワイナリーでもあります。例えば、ワイナリーの敷地内に設置された太陽光パネル。ここで発電された電力は、工場の動力や空調に使われているそうです。ブドウの品質管理も徹底していました。広大な自社農園では、土壌の特性により圃場を分け、土壌改良を行い、それぞれに適したブドウを栽培することで農薬の使用低減を目指しています。ほかにも、年中温度が一定の地下水をくみ上げ、ワインの保管庫の冷暖房代わりに使用する配管設備や、地下水の利用を少なくするための貯水池、電気自動車の活用など、様々な取り組みがありました。温暖化が進むとブドウの収量や品質にも影響が出てきます。そのため、こうした取り組工学部環境機能工学科(2年) 村上 颯さんスペインのワイン生産における環境保護04REPORTみの重要性を消費者へ率先して情報発信しているといいます。改めて、自身が活動するだけでなく、環境活動に関する情報発信や教育の重要性を感じました。私は将来公務員を目指しています。スペインの町づくりや歴史的な建物を活用する取り組みなどを実際に目で見ることで、いずれ、自然と調和した町づくりに取り組みたいと思い、今回の研修に参加しました。実際に訪れてみると、スペインの文化や歴史、市民の環境意識の差や日本との違いなど、目で見なければわからなかったことがたくさんありました。この経験を将来につなげていきたいと思います。ワイン用ブドウの木みしほかつむらかみはやて訪問施設で職員の方から環境に関する取り組みについて教えてもらったトーレスのワイン保管庫06平成28年度 環境教育海外研修報告

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