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バルセロナは「Agenda21(※)」に基づいた独自の環境政策を行っていて、環境問題に対して熱心に取り組んでいる地域です。例えば、バルセロナの市街地は、碁盤の目になっていて、とても合理的です。公共レンタサイクルも充実していて、世界トップクラスの利用率を誇ります。「バイクフレンドリーシティ」ともいわれ、自転車だけでいろいろな所に行けます。古い建物のリノベーションも進んでいます。使われなくなった闘牛場をデパートにしたり、古い銀行がファッションブランドのショップになっていたりと、様々です。スペインが誇る建築家ガウディが設計したグエル公園には、商品にならなかった割れたタイルが活用されています。地中海地方の強すぎる光を拡散させるためでもあるそうです。100年以上前の時代を生きたガウディに、資源の再利用や省資源につながるような考えがあったことに驚きました。芸術と環境は一見結びつかないようにも思えますが、こうした作品があることで、環境に対する新しい意識も生まれるように思います。今回バルセロナを訪問し、人と環境に配慮した町づくりが日本と比べて非常に先進的だという印象を受けました。2020年に東京オリンピックを控えた日本理学部理学科物質循環学コース(2年) 中城 由佳里さんバルセロナの環境と人が共存する町づくり01REPORTBARCELONAが学ぶべきことがたくさんあると思います。また、私は環境学生委員会の委員長を務めています。この研修での経験は、委員会に取り組む姿勢を考えることにもつながりました。例えば、市役所の方々は、市民のやりたいと思うことをサポートする立場として、すごく熱心に考え取り組んでいました。私も多くの人が「やりたい」と思うことを実現できるように、帰国後大学で早速アンケートを取りました。今後の活動の参考にしていく予定です。この研修での経験を活かし、今後の活動につなげていきたいと思います。環境政策の一環でバルセロナが取り入れているレンタサイクル※1992年6月にブラジルで開催された国連環境開発会議で採択された文書のひとつで、21世紀に向けて持続可能な開発を実現するために実行すべき具体的な行動計画グエル公園のシンボル、割れたタイルで装飾されたトカゲの噴水の前で今回、私達はカタルーニャ工科大学に足を運びました。スペインの大学の雰囲気や環境に関する講義、研究に触れ、信大生との違いについても考えるためです。カタルーニャ工科大学では、4つ程の講義を受けました。中でも興味を持ったのが、近代都市計画に関する講義です。環境・経済・社会―これらがバランスよく共存し、人の生活が持続可能な発展をするために、様々な要素を総合的に考えることの必要性について学ぶ講義でした。旧市街地の再生戦略や、都市の建築環境、歴史や文化を考えることも重要だという話もありました。また、カタルーニャ工科大学では、とにかく学生達が積極的だと感じました。座学であっても、率先してディスカッションを行い、自分達で講義を作り上げていました。海外の学生達の雰囲気を肌で感じることができたことも大きな収穫でした。この研修を通して、改めて、環境問題を社会全体の共通認識にし、「Think Globally, Act Locally」の精神を持つ工学部情報工学科(2年) 狩野 貴彦さん カタルーニャ工科大学で感じたこと02REPORT大切さを感じました。私の専攻は情報工学です。これまで環境問題とはあまり関係性がない分野だと思っていましたが、カタルーニャ工科大学での講義や研究室への訪問で、「環境リモートセンシング」という研究分野があることを知りました。環境に関わるあらゆる情報を得るために今後必要とされている観測技術です。今回の研修に参加したことで、将来そうした研究に携わりたいと思うようにもなりましたし、大きな影響を受けました。普段から環境のことを考え、将来を見据えながら行動していきたいと思います。カタルーニャ工科大学(UPC)のキャンパスUPCの研修室を訪問ゆなかじょうかりたかかのひこ05
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