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ブランド価値の向上と人・社会を動かす仕組みづくり【地域ブランド部門】地域ブランド部門は、人文学部、教育学部などの心理学系の教員が中心メンバーです。「『社会基盤』のもととなるのは人間の動き。何を付加価値として捉え、どのように人は動くのかを科学するのが、我々の分野です」と部門長の林靖人学術研究院(総合人間科学系)准教授は話します。地域ブランド部門では、法律やデータ解析で他の部門が確立してきたエビデンスをベースにして、それらをどのように表現すれば人は価値を感じ、消費行動に移るのか、といったことを、科学的に測定して検証していきます。例えば、「フェアトレード」。社会的な課題を解決する目的ではありますが、すでにこれ自体がひとつの付加価値として捉えられています。その他にも、欧米ではエシカル・コンシューマリズム(環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない)という考えが、意識の高い消費行動として認識され複合的な地域計画の成功事例を研究【地域計画部門】ています。こうした、「次世代的な価値」ともいえるものを地域の中から拾いだし、その表現方法やプロモーション方法などを、心理学的手法から導き出すことで、新たな「地域ブランド」として確立させていくのが本部門の役割だといえます(図4)。千曲川ワインバレーを対象とした研究では、従来のラベリング制度では取り扱われていなかった環境負荷へのエビデンスや新たな成分的優位性などが、消費者にとって次世代的な価値を感じさせるものとなるのかどうかを、実験的に検証していきます。地域計画部門は、農学部を中心に、流域保全、造園学、建築、経済地理学、農業経済学などを専門とする教員が集まる、まさしく社会の空間的基盤となるテーマを扱う部門です。特に、近年注目が集まる災害にも対応できる街づくりは主要テーマのひとつ。自然災害が多い長野県では特に、レジリエンス(回復力・抵抗力・復元力などの意)の高い土地利用モデルの確立が求められています。「海外ではグリーンインフラストラクチャーという自然の防災や水質浄化などの力を活用した再開発により、地域の課題の解決と新しい街づくりを両立する手法が注目されています。こうした海外の事例などを自治体などに情報発信しながら、複合的な町づくりを進めることで、空間的観点からの地域ブランド化、地域の魅力づくりにも寄与したいと考えています」と部門長の上原三知学術研究院(農学系)准教授は話します。他にも、英国の研究で、身近な公園緑地を利用しやすい地域ほど病気の罹患率が低く、医療費が低いという研究事例があります。こうした、街づくりや地域計画的な観点を通して、地域の医療課題と、森林の未活用を総合的に考える自治体との共同研究を期待します。※取材後に、新たに「地域医療部門」が設置されることになりました。より充実した学際研究を目指していきます。06経済産業部門 部門長学術研究院社会科学系 准教授増原 宏明取材協力いただいた信州大学学術研究・産学官連携推進機構リサーチ・アドミニストレーション室の鳥山香織助教。社会基盤研究センターの活動をURAとしてサポートする。(図4)立体駐車場を背後に組み入れて立体化した新病棟と緑化された広場が地域の公園緑地と一体化しているリヴァプール市における本エリアは下部の市街地の洪水調整から透水性の確保が期待されていた地域ブランド部門 部門長学術研究院総合人間科学系 准教授林 靖人地域計画部門 部門長学術研究院農学系 准教授上原 三知afterafterグリーンインフラストラクチャー例元の子供病院 アスファルトの駐車場と旧病棟はすべて公園緑地化されるbefore
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