理学部研究紹介
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5数学科研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像数理科学コース数学科数理科学コース非圧縮Navier-Stokes方程式:uは流体の速度ベクトル、pは流体の圧力。fとaはそれぞれ、外力と初期速度場を表す。−Δuは摩擦力、(u・∇)uは慣性力を表す。1: 波動方程式、2: Beochner-Riesz 平均、3: Fourier restriction、4: Kakeya maximal function。 これらは全て、Kakeya予想に深く関連する。しっかりとした論理的思考力がつけば、どのような職種でも活躍できると思います。近年は、Googleなどの大企業が数学科出身者を積極的に雇用しているということをよく聞きます。その他にも、アクチュアリーや中学・高校の教員になる人も多いです。Kakeya予想については、それの解決が実社会に影響を与えることはないように思います。ただし、この予想の解決がSchr¨odinger方程式などの研究を促進させ、そこからなにかしらの影響をあたえることになるかもしれません。Navier-Stokes方程式に関しては、天気予報の精度をあげることに多少の貢献はあるやもしれませし、水道管破裂のニュースを聞く頻度を下げるやもしれません。1982 年 大阪生まれ大阪府立港高校 卒業愛媛大学 理学部 数理科学科 卒業大阪大学大学院 数学専攻博士前期/後期課程修了筒井 容平 助教筒井 容平 研究室谷内 靖 研究室私は、実解析学の研究とそれを用いた偏微分方程式の研究を行っています。実解析学の研究では、最近Kakeya予想とその周辺の問題に興味があります。Kakeya予想は、掛谷宗一先生の提唱した問題が元となっており、世界中で活発に研究されています。偏微分方程式論の研究としては、特に水などの運動を記述する非圧縮Navier-Stokes方程式を実解析学の知識を用いて扱っています。他にも、上記の実解析学の研究に関連してSchr¨odinger方程式などの分散型方程式にも興味を持ち始めています。実解析学と偏微分方程式論Navier–Stokes方程式はこの写真のような水の流れを記述する方程式。非圧縮性 Navier–Stokes 方程式と呼ばれる連立偏微分方程式。名古屋大学理学部物理学科卒業、名古屋大学大学院工学研究科博士課程前期課程修了、名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士課程後期課程修了。非線形偏微分方程式を研究している。谷内 靖 教授私の研究室の卒業生は、高校の教員や公務員になるものが多くいます。卒業生が、数学の研究を通して培った思考力を発揮し、社会に貢献してくれることを期待しています。偏微分方程式とは、未知関数とその偏導関数を含む方程式のことです。多くの物理現象や社会現象は偏微分方程式によって記述され、偏微分方程式の数学的解析は自然科学全般で重要な役割を果たします。私の研究テーマは非線形偏微分方程式、特に流体の力学の基礎方程式を研究しています。流体には非圧縮性流体(縮まない流体)と圧縮性流体(縮む流体)があります。たとえば、水は非圧縮性流体であり、空気は圧縮性流体(縮む流体)です。私は非圧縮性流体の運動を記述する非圧縮性 Navier–Stokes 方程式を関数解析的に研究しています。非圧縮性 Navier–Stokes 方程式とは右のような連立の偏微分方程式です。詳しい記号の説明は省きますが、uは流体速度、pは流体の圧力を表す未知関数です。流体の流れの解析

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