理学部研究紹介
8/40
4数学科数理科学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像数学科数理科学コースFeynman 経路積分は、あらゆる経路についての積分。経路は過去にも未来にも、光速も超えて進むことができる。電子と光子、陽子と光子は直接作用する。その結果電子と陽子が間接的に作用する。私の研究室の卒業生は、技術者・高校の教員・公務員になるものが多くいます。卒業生が、数学の研究を通して培った思考力を発揮し、社会に貢献してくれることを期待しています。光と物質の相互作用(量子力学、量子電磁気学)、量子観測理論の量子情報理論への応用の数学的研究をしています。京都大学理学部数学科卒業、大阪大学大学院理学研究科博士課程前期課程修了、同後期課程単位修得退学。理学博士(大阪大学)。偏微分方程式・数理物理の研究。一ノ瀨 弥 教授一ノ瀨 弥 研究室ボールの転がり方や、ロケットの打ち上げなど目に見えるレベルの世界での運動を記述するのが、ニュートン力学です。物体の質量掛ける加速度は、物体に掛かる力に等しいと言う法則です。一方、電子、原子、分子など顕微鏡でしか見えない物体の運動を記述するものは、これとは全く別の法則に従うということが 1900 年代の初頭に発見されました。これは、量子力学と呼ばれています。アメリカのファインマン教授は、1948 年に量子力学を取り扱う画期的方法を発見しました。この方法は、Feynman 経路積分と呼ばれています。この Feynman 経路積分の数学的取り扱い方の研究を、私はしています。量子力学・量子情報の数学『射影平面』という図形を 3 次元空間に実現した図で、『Boy曲面』と呼ばれる。射影平面の性質により『自己交差』が生じる。(図は“Sketches of Topology” より)『結び目』の例。多様な絡まり方は、3 次元空間の性質を反映している。(図は“knot atlas”より)境 圭一 研究室東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了。学術振興会特別研究員、信州大学理学部助教などを経て、2016 年より現職。専門はトポロジー。境 圭一 准教授社会を支える科学技術、その基礎の一つが数学です。筋道を立てて考える能力を生かして、システムエンジニアなどとして活躍している人もいれば、中学・高校の教員となっている人もいます。4次元、5次元、…といった高次元の『図形』は、決して夢物語でなく、素粒子論の世界などでは実態を伴って研究されているものです。我々の目には見えない高次元の世界を『見る』手段の一つとして『埋め込み』は有効です。さらに、個々の埋め込みは互いに関連しており、その関連を利用することで、全く新しい図形を生み出すこともできます。こうして幾何学の世界がどんどん広がっていきます。境研究室では『幾何学』を研究しており、テーマは『多様体』と呼ばれる図形の『埋め込み』です。埋め込みのもっとも代表的な例は『結び目』です(右上図参照)。このように、図形を(高い次元の)空間内に実現するのが『埋め込み』です。輪が様々な絡まり方をする理由は、我々の住んでいる3次元空間の性質にあります。幾何学で研究される図形の多くは、輪より複雑でわかりにくいのですが、例えば3次元空間のようにわかりやすい図形に埋め込むことで、その図形が『見える』ようになり、様々な性質がわかるようになります。埋め込みの諸相 ―高次元の図形を『見る』には
元のページ
../index.html#8