理学部研究紹介
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31理学科理学科物質循環学コース物質循環学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像1979年より木崎湖の定期観測を行っている。冬の木崎湖ステーション川の採集中学・高校の先生や市町村の公務員となった卒業生が多くいます。自分で採取し、自分で考え、自分で見つける事ができれば、どんな所でも、どんな事でも解決できます。1954年生まれ1979年教養部2000年理学部2005年山地水環境教育研究センター2015年理学系山本 雅道 助教山本 研究室今の陸水(川や湖)環境は一時期の汚濁状態から戻りつつあり、見られなくなっていた魚や虫が戻ってきています。しかしながら、川や湖での漁獲量の減少、湖低層の無酸素化が知られています。これらは、地球温暖化の影響かとも言われますが、まだ原因や過程の解明はされていません。私は、川や湖の生物採集や水質分析を通して、現状と過去との違いなどを知り、その要因を明らかにしようとしてきました。その中で、学生さんには、自分で採集し、自分で考え、自分で見つけることができる人となってもらいたいと考えてきました。そのような想いを幾人かに伝えられたらと思っています。陸水生物学 微生物微生物採取した土壌を対象に、微生物実験や化学分析を行う。有機物を微生物が分解することで、炭素や窒素、リンといった元素が循環し、微生物だけでなく他の生物にも利用できるようになる。研究により身につく論理性やプレゼンテーション能力は、文系、理系に拘わらず強力な武器となります。卒業生は、研究者や中学・高校の教員、分析会社といった理系の職種から、公務員などの文系の職種まで幅広い分野で活躍しています。1998年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。とくに森林土壌において、炭素や窒素、リンの循環に関わる微生物の働きについて研究している。また重金属汚染についての研究も、学生時代から継続中。國頭 恭 准教授國頭 研究室土壌中の物資循環における微生物の役割を明らかにすることは、陸上生態系を保全しそのサービス機能を維持する上で有用です。また近年深刻になっている環境問題に対応する際にも重要です。例えば、温暖化にともない微生物による土壌有機物分解と二酸化炭素放出が増加するのか否かという問題は、現在まで解明されていませんが、微生物がいずれの応答を示すかで、将来の気候変動にも大きな影響を与えます。私たちの身近に存在する土壌は、植物の生育を通して全ての陸上生物を養っているだけでなく、多様な元素の循環など、様々な機能を有しています。また近年では地球温暖化が大きな問題となり、土壌の炭素貯蔵にも関心がもたれています。土壌中には、細菌、糸状菌、微小藻類、原生動物、ウィルスといった肉眼では観察できない微生物が数多く生息しています。様々な微生物が、植物が光合成でつくった有機物を分解して無機物として放出することで、植物の再生産が可能となります。このように、微生物は生態系の物質循環にきわめて重要な働きを持っています。一握りの土の中にも無限の世界
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