理学部研究紹介
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10理学科理学科物理学コース物理学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像メキシコに新しく設置した検出器。宇宙線観測実験は国際共同研究として行われている。4カ国の観測所と観測装置(拡張を計画中)。GMDN(Global Muon Detector Network)と呼んでいる。しっかり学べば、大学で学んだこと、経験したことはどの分野であれ活かすことができます。自分自身の未来を拓きましょう。国際宇宙ステーション(ISS)が軌道上にあり、火星探査などという話も聞こえてくる時代です。人類が惑星間空間を航行する日が来たとき、その場所の状態がどうなっているのかを知っておくことはとても重要です。ISSでは、太陽からの宇宙線が大量に降り注ぐような時は、遮蔽された部屋に避難します。もし、宇宙天気予報が実現すれば、宇宙での活動にも貢献できるかもしれません。研究分野:宇宙線物理、宇宙プラズマ物理の分野で、宇宙線の加速や伝播モデルについて研究。加藤 千尋 准教授宇宙線実験研究室太陽の活動は地球に様々な影響を与えています。例えば、フレアーやCME(Coronal Mass Ejection)と呼ばれる太陽表面での爆発現象は惑星間空間の磁場を乱し、衝撃波を生みだします。この擾乱や衝撃波が地球にぶつかると地磁気嵐やオーロラ発光などの現象を引き起こします。このように地上で様々な現象を引き起こす惑星間空間の現象を“宇宙天気”と呼んでいます。研究室では、日本、オーストラリア、ブラジルそしてクウェートに観測所を設置し、ほぼ全天を同時観測できる宇宙線望遠鏡を使って宇宙天気現象の解析とその理解を進めています。宇宙線望遠鏡で視るATLAS実験で観測されたヒッグス粒子生成事象の候補。ヒッグス粒子が変化した4つのミュー粒子(赤線)をミュー粒子(緑の台形)が捕えている。本研究室が建設に参加したミュー粒子検出システム。直径約22m の円盤状に全14層に並べられた約2m×1mの約3000枚の検出器と電子回路で構成される。研究には、物理学だけでなく、検出器開発、電子回路開発、ソフトウエア開発と様々な技術を総動員します。学部学生・大学院生は、それらの知識を身に着け、卒業後は、製造業、ソフトウエア開発などに就職しています。教員や研究者を目指す学生もいます。高エネルギー物理学は基礎科学であり、人の人たる所以の一つである知的好奇心を満たし、知の新しい地平を開くことが最大の目的です。得られた知見がすぐに私たちの社会に役立つものではありません。しかし、過去には、発見当時は役立たないものでも、今では社会に不可欠なものとなった例がたくさんあります。現在得られつつある知見が、遠い未来の人類に大きな幸福をもたらすかもしれません。東北大学大学院修了高エネルギー物理学実験放射線検出器開発粒子加速器を用いた素粒子実験による真空と時空の構造、宇宙の成り立ちに興味がある。長谷川 庸司 准教授高エネルギー物理学研究室スイスのCERN研究所にある世界最大の粒子加速器LHCを用いた国際共同実験のATLAS実験に参加し、私たちの世界を形作る最小構成要素の素粒子とそれらの間に働く力を解明する高エネルギー物理学(素粒子物理学)の実験による研究を行っています。LHCは陽子と陽子を高いエネルギーに加速し、正面衝突させることで、ビッグバンによる宇宙開闢から10-11〜10-10秒後の状態を再現します。そこで発生した粒子をATLAS測定器でとらえることで、素粒子反応を解明することができます。これは、宇宙の誕生と進化を解明することにつながります。扉は開いた!粒子加速器が拓く     素粒子物理学の新たな地平

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