2017環境報告書
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8長野県は雄大な山岳や豊かな森林など、四季の変化に富んだ美しい自然環境に恵まれています。こうした環境を反映して、県内の学校現場では学校登山をはじめとする自然体験学習や環境教育が盛んに行われてきました。また本学教育学部では『環境教育』の必修化にいち早く取り組み、環境マインドを身につけ、環境教育を指導できる教員を長野県内の教育現場に送り出してきました。さらに長野県では、教員のみならず地域の様々な組織が連携して行う、地域学習の取り組みも積極的に進められています。しかし一方で、県内の学校現場でのESDの認知度は低く、その推進拠点と位置づけられているユネスコスクールの加盟校もわずか4校に留まっていました(2016年2月時点)。また、企業や各種団体、ユネスコ協会をはじめとするNPOなどが、それぞれ個別にESDの推進に関わる活動を行っていたものの、学校現場では十分に活用されていませんでした。こうした現状から、長野県内でESDの普及・実践を推進するため、学校現場と県内でESDに携わる様々なステークホルダーを橋渡しし、ESDについての情報交換や交流、連携を促進する仕組みの構築が求められていました。そこで長野県においてESDを推進するため、文部科学省「グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業」に、本学教育学部が中心となって『信州の環境と知に根ざしたESDコンソーシアムの形成』で申請し、2016年4月に採択されました。この事業は、教育委員会及び大学等が中心となり、ESDの推進拠点であるユネスコスクールと共にコンソーシアムを形成し、地域においてESDを実践することを通じて、その普及・推進を図ることを目的としたもので、国内外のユネスコスクール間の交流の促進を通じて、グローバルな人材の裾野を広げることも期待されています。これにより、長野県でESDを推進する「信州ESDコンソーシアム」の取り組みが本格的にスタートしました。信州ESDコンソーシアムは、長野県にESDの普及と定着を図るため、様々なESD関係者と協力して、下記のような取り組みを行います。また、信州ESDコンソーシアムは、ユネスコエコパークを活用したESD活動の普及と実践を世界に発信していくことを目指していますが、これは他のコンソーシアムにはないユニークな取り組みです。事業の初年度にあたる2016年度は、コンソーシアムに参画する教育委員会や各種学校、団体との調整が最初の仕事でした。担当のESDコーディネーター(教員)が繰り返し学校などを訪問し、コンソーシアムへの参加を呼びかけるとともに、先方の課題やニーズに耳を傾け、コンソーシアムの組織や機能を具体化していきました。またESDに関する研修会やユースの交流イベントなどを通じて、ESDの普及に努めるとともに、ユネスコスクール全国大会への参加など、県内外のESD関係者との交流をム(GAP)が採択され、これにより各国がESDの推進に政策的に取り組むことになりました。日本においても、文部科学省、環境省をはじめとする関係省庁が連携し、また多様なステークホルダーが協働して、GAPに沿ってESDの普及・実践にかかる取り組みを推進していくことになっています。ESDは、これからの教育を考える上で最も重要なキーワードの一つです。平成29(2017)年春に公表された小学校・中学校の学習指導要領では、「持続可能な社会の創り手」の育成を目指すことが、各所で謳われています。次世代を担う子どもたちは、気候変動をはじめとする地球環境の変化や、産業再編とグローバルな企業間競争など、様々な社会・経済的変化によってもたらされる、予測困難な厳しい時代を生きていかなければなりません。ESDは、子どもたちにこのような変化に対応する力を育み、グローバルに活躍できる人材を育成する学びとして期待されています。ESDには、地方創生の推進においても大きな期待が寄せられています。とくに過疎化、若者や企業の大都市圏への流出、地域産業の衰退といった地域コミュテニィの存続に直結する切実な問題に直面している地域にとって、その活力を維持し、持続可能な地域社会を構築することは喫緊の課題です。身近な地域に目を向けてその課題に向き合いながら、これからの地域を担う人を育てるESDは、持続可能な地域づくりの鍵ともなっています。信州ESDコンソーシアム

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