2017環境報告書
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卒業論文38卒業論文卒業論文教育学部 学校教育教員養成課程 ものづくり・技術教育コース 桂本 憲一農学部 応用生命科学科 青木 邦祥 歴史的視点から栽培技術や その発達を理解・評価するための ゲーム教材の開発農業技術の発展に伴う環境問題は、現代社会において重要な課題である。そこで本研究は、中学生を対象に、歴史的な視点を加え、栽培技術やその発達を社会や環境との関わりから理解・評価するためのゲーム教材の開発を行った。中学2年生対象に、実践及び検証の結果、面白く、分かりやすく考えやすいという印象を持ち、農業技術の発達の意味と便利さと同時に環境への影響を理解し、そこから環境と生産性や便利さとのバランスを考えさせる教材として有効であったことを確認することができた。 コリネ型細菌による マロン酸生産製持続可能な社会に向け、再生可能原料であるバイオマスから燃料やポリマーを生産する「バイオリファイナリー技術」の開発が求められている。そのような観点で、脂肪酸合成経路やその派生経路は魅力的である。それらの経路にはバイオ燃料やバイオポリマーの原料となる物質が多く存在しているからである。例えば、長鎖の脂肪酸はバイオ燃料として有用であるし、中鎖のジカルボン酸はバイオポリマーの原料としての潜在需要を有する。炭素3つのジカルボン酸であるマロン酸も脂肪酸合成経路からの派生物であり、米国エネルギー省がバイオマスから製造される化学品トップ30の一つに掲げている戦略物質である。当研究室では、最近、コリネ型細菌による脂肪酸生産技術を開発した(図左)。脂肪酸は、代謝中間体であるマロニル-CoAから脂肪酸合成酵素(FasAとFasB)の作用で炭素鎖を伸長することにより生合成される。もし、脂肪酸生産菌でFasAとFasBを遮断できれば、マロニル-CoAが滞留し、脱CoA化されてマロン酸が生成する可能性がある。この仮説を検証するため、脂肪酸生産菌からFasAとFasBの遺伝子を順次破壊した(図右)。この破壊株のマロン酸生成量を分析した結果、約30mg/Lのマロン酸が蓄積していることがわかった。その蓄積量は脂肪酸生産菌の脂肪酸力価(約300mg/L)に比べると低いことから、収量改善が今後の課題である。ゲーム教材「激走!稲作街道」

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