Shinshu University Social Responsibility Report 2016-2017
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SHINSHU UNIVERSITY SOCIAL RESPONSIBILITY REPORT 2016−201711海外からの留学生の受入と日本人学生の海外への派遣を戦略的に行い、国際的な視点をもって世界で活躍する人材を育成します。また、海外大学・研究機関等と積極的に交流して国際共同研究を推進し、研究レベルの向上を図ります。Global信州大学の特色ある研究領域(カーボン、環境・エネルギー材料、ファイバー工学、山岳科学、バイオメディカル)に資源を集中配分して設置した「先鋭領域融合研究群」は、学内の若手研究者の育成や外部の卓越研究者の招へいを通じ、大学全体の研究力アップを図っています。さらに、研究群を教育改革、組織改革、研究力強化につなげ、持続可能な社会構築に向けてグローバルに力を発揮する人材、日本の産業界を牽引し成長の原動力となる人材を育成しています。◦初のライジングスター教員誕生2016年1月に、信州大学で初となるライジングスター(RS)教員が認定されました。論文の引用数、受賞歴等の優れた実績を持つ教員の中から、学外学識者による審査、学術研究院会議でのプレゼンテーションを経て3名が選ばれました。今後、RS教員に対しては、研究環境の確保等の優先的支援を行っていきます。また、2021年度までに9名のRS教員を認定することを目指しています。◦特別教授を積極的に海外から招へいグローバルな視野からの研究を加速するため、海外の著名な研究者とその研究チームメンバーの招へいを行っています。2016年12月までにマサチューセッツ工科大学やポールサバティエ大学等25機関から延べ72名の研究者を招へいしました。研究指導や特別講義等を通じ、学生や若手研究者の育成にも大きな効果を挙げています。1-1先鋭領域融合研究群で世界レベルの研究を推進バイオメディカル研究所/医学部附属病院循環器内科柴祐司准教授を中心とした研究グループは、2016年8月、重症の心臓病患者に対する新しい再生医療として、iPS細胞を使った心筋再生治療法を開発しました。免疫拒絶反応が起きにくい特殊なカニクイザルから作製したiPS細胞をもとに、心筋細胞を作製し、心筋梗塞を発症した通常のカニクイザルに移植、細胞の生着と心臓機能の回復を確認したもので、この研究成果は、英科学誌Natureに掲載されました。1-2iPS細胞を用いた新しい心臓病治療法を開発 環境・エネルギー材料科学研究所は、リチウムイオン二次電池を高電圧でも長期間安定して動作できるようにする電極表面処理技術を開発しました。電極を皮膜で覆うことによって高電圧動作による劣化を抑制できるほか、電極の抵抗を従来の1/3以下に低減できました。本技術が実用化されれば、例えば電気自動車の場合、1回の充電での走行距離が1.3倍程度に伸び、充電時間も大幅に短縮されるなどの効果が期待されます。1-3リチウムイオン二次電池の高電圧作動を可能にする電極表面処理技術を開発次代クラスター研究センター学術研究院研究領域融合、イノベーティブな研究クロスブリードクロスブリードカーボン科学研究所環境・エネルギー材料科学研究所国際ファイバー工学研究所山岳科学研究所バイオメディカル研究所先鋭領域融合研究群菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター航空宇宙システム研究センター次世代医療研究センター社会基盤研究センター食農産業イノベーション研究センター先鋭領域融合研究群に次代クラスター研究センターを設置し、更なるクロスブリードによって本学の研究のワンランクアップを目指します。耐久性の各段の向上と5V動作の実現“着る”生活動作支援ロボット、ロボティックウェア「curara®(クララ)」。大学と企業の協力により生まれた産学連携の成果です。さらなる小型軽量化、ひとりで装着できるような工夫、膝折れ対策などの改良を加え、実用化を進めています。さらに、この「curara®(クララ)」を基礎に、体内埋め込み型「歩行アシストサイボーグプロジェクト」が、研究群の複数の研究所の協働によりスタートしています。1-4ロボティックウェアcurara®(クララ)と歩行アシストサイボーグプロジェクトcurara®パンツタイプ発表会Dunn特別招へい教授とのXBreedディスカッションRS教員に認定された、(左から)金翼水准教授、増木静江准教授、柴祐司准教授◦次代クラスター研究センターの設置研究群の研究所は外部評価を受けて定期的に見直すこととしています。その時の新たな研究所候補となることを期待し、「次代クラスター」と総称される5つの研究センターを2016年10月に設置しました。研究群の層を厚くし、裾野を拡充することにより、更なる発展を目指します。
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