信大NOW99号
16/20

15入学式で「激励」と「責任」を想う。4月4日、信州大学の入学式を見学させていただいた。新入生のご両親だけではなく、祖父祖母と見られる方々も多数いらっしゃり、みなさん熱い眼差しを注いでいたのが印象的だった。私が専門としてきた広告の分野では、ここにきて、若者を励ますCMが多くなった。エールを送り、鼓舞し、もっと踏み外しても良いのだ、個性を出しても怖くないと訴える。優しいトーンではなく、チカラを込めて背中を叩き、背中を押す。そこには、元気にやってもらわなければ困るんだという、大人側の危機感すら見えてくる。広告は世の中を呼吸している。若者を激励するCMは広告賞にも多数応募されて賞を獲得する。つくっているのは大人たちだ。審査し、感動しているのも大人たちだ。私もその一人だったりする。そこまで、若者に、学生に、気を使い励ます時代とは何だ? お節介過ぎやしないか?自分たちの責任を棚にあげていないか?全国47都道府県から信州に集まった若者たちの前途を思う。ダイバーシティを身体で体験し、逞しい知に育ち、平気で国境を超えて欲しい。幸いなことに、指針となるOB・OGは信大から巣立っている。まずは自らの独創力を育み、突破力をつける。傷つくことも多いだろうが、前へ。一方、私たち大人は、具体的なカタチで、リアルなカタチで、若者が能力を発揮しやすい環境をつくる責任がある。励ましているだけの存在ではみっともない。久しぶりに厳かな空気に触れ、久しぶりに自らを省みた入学式だった。外に出れば、新入生たちの頭上をまだ五分咲きの桜が彩っている。彼らの満開はこれからだ。1985年 ㈱電通入社 以来クリエーティブ局2008~2013年 上海電通赴任2014年 ブランドア㈱創設2013年~ 上智大学講師「メディアと社会(広告論)」ブランドア㈱ 代表取締役(元電通) 信州大学広報スタッフ会議外部アドバイザー氏藤島 淳平成28年度信州大学入学式今年も入学式で、前身校のひとつ旧制松本高等学校の寮歌「春寂寥(はるせきりょう)」と、大学設立後に歌われた学生歌「叡知みなぎる」が厳かに歌われた。ともに信州大学の歴史や伝統を受け継ぐ歌だ。収録したCD「信州大学こころの歌」も式場の外で販売されていた。信州大学は学外の広報有識者に広報アドバイザーとして、広報活動への助言・指導など、多彩な協力をいただいています。今年度は時節のテーマなどで信州大学にコメントをいただくコーナーを作りました。

元のページ 

page 16

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です