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手嶋 勝弥橋本 稔08体)型と共に、未来のモビリティ社会を見据えた蓄電池として期待されています。家庭用蓄電池と異なり、車に積載できるほど小さく軽く、しかも高エネルギーの電池が実現できれば、どこへでも持ち運んで使うことができるからです。“未来のクルマ”で使用できれば、ほとんどの産業に応用できると思います。この「全結晶型二次電池」の出口は無限に広がります。ハードルもそれなりに高いですが(笑)―「バイオに学ぶロボットから、バイオと統合するロボットへ」とはもともとバイオ系ロボットの研究開発を始めたきっかけは「人とロボットのインタラクション」なんです。つまり人同士が行う動作を、人とロボットで実現してみたいと…。ですから初めの頃は「握手」という動作を研究してみました。一言で「握手」といっても、人によって手の大きさや力加減も違う、つまり、“その時々の能動的なやりとり”、「リズム」というニュアンスを合わせるための仕組みが必要で、結果、「神経振動子」を使った同調制御法が生まれました。むりやり動かされることのない、人に優しい制御法です。このように、人の動きに合わせるロボットを作る、という発想からスタートしました。そして、握手の次の段階ですが、やはり、直接人の役に立つものを作りたいと思うようになりました。人の生活を直接支援するロボットですね。現在のcurara®が生まれた、10年も前の話になります。―超高齢化社会とcuraraⓇ、社会の反応はいかがですか“着る”ロボット、ロボティックウェアcurara®を作ってみたら、とにかく反響の大きさに驚かされました。高齢化社会を迎えたということもあり、世の中には身体が不自由で困っている方が大勢いて、早く治したい、生活を改善したいと願って暮らしています。国際福祉機器展には3年前から出展し、curara®をご覧いただいていますが、「すぐに欲しい」という方、介護される方が直接ブースにお越しになって、切実な状況が伝わってきます。年々高まる、そのニーズの広さと強さには驚きすら感じています。curara®の開発はこのように、周りからの期待の大きさに押されて加速してきた感があります。ですからこの研究はいつでも新鮮でもあり、世の中の役に立てる、という自負を持っています。―現在の3.5号機から最終5号機レベルへ…今後のビジョン、課題などをそのようにマーケットには強いニーズはあるものの、一方で開発技術が追いついているかというと、まだまだ限定された領域でしか実用化できていない。今後は、いくつかの要因、例えばアクチュエーターが大きい、重いなどの改善を行いますが、さらに一番問題となる「装着したときの違和感」が大きな課題です。長時間装着していると負担に感じてしまう…などの問題ですね。人に優しいロボットは、感性工学の原点、まさに「人とロボットのインタラクション」というテーマに行き着きます。また、サイボーグ技術に求められる究極の小型・軽量化、生体親和性などですが、今の技術の延長で実現できるのか、という課題もあります。システムが必要な力を出すために、まったく新しいアイデアや原理、というものも必要になるかもしれません。これからcurara®は2020年の実用化を目指し開発を進めますが、いままでは楽しかった研究も今度は厳しさ、でしょうか(笑)産学連携もさらに進め、どんどん輪が広がるように企業にも積極的に参画いただいていこうと思います。平成28年4月1日~7月26日※午前10時から午後6時 入館は閉館の30分前まで 土日祝日を除く人とロボットのインタラクションを目指すその究極がサイボーグ(国際ファイバー工学研究所 橋本教授)文部科学省ミュージアム「情報ひろば」での企画展示信州大学「近未来体内埋め込み型歩行アシストサイボーグプロジェクト」は、上記期間で文部科学省「情報ひろば」企画展示室に展示ブースを設けています。生活支援ロボティックウェアcuraraⓇの実機展示はもちろん、歩行アシストサイボーグについてもCG映像やイメージ模型などでその技術を解説しています。入場無料ですので、是非ご覧になってください。文部科学省情報ひろば「企画展示室」(※入場無料)東京都千代田区霞が関3-2-2 旧文部省庁舎3階先鋭領域融合研究群環境・エネルギー材料科学研究所長蓄電池部門長学術研究院教授(工学系)/博士(工学)名古屋市生まれ。2003年名古屋大学大学院工学研究科博士課程後期課程修了。2005年信州大学工学部助手、2010年同准教授。2011年同教授。日本フラックス成長研究会副会長。2014年3月より現職。てしまかつや先鋭領域融合研究群国際ファイバー工学研究所スマートテキスタイル研究部門学術研究院教授(繊維学系) /博士(工学)電気通信大学助手、鹿児島大学助教授を経て、1999年より現職。研究分野はバイオロボティックス。はしもとみのる
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