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通常の電池構造は正極、液体電解質、負極の順に並んでいる。電解液が固体電解質に変われば、容積はぐっと小さくなり、小型化を実現できるとともに、エネルギー密度が高くなり、高出力が得られる。体内埋め込みに不可欠な「全結晶型二次電池」とはバッテリー(蓄電池)を体内に埋め込むためには、性能を飛躍的に向上させる革新的な技術が必要です。信州大学先鋭領域融合研究群 環境・エネルギー材料科学研究所 蓄電池部門では、「フラックス法」という独自の結晶育成技術を活用し、高品質なリチウムイオン伝導性結晶を育成してきました。それらの結晶材料を使って、電池構造を全結晶化できれば、蓄電池のエネルギー密度の飛躍的向上とパッケージングのコンパクト化が期待できます。つまり、全結晶型二次電池は、歩行アシストサイボーグに搭載するだけでなく、電気自動車やウェアラブル機器等に搭載できる蓄電池の未来のあるべき姿なのです。(※詳しくは7P手嶋所長のインタビューをご参照ください)リチウムイオン電池(3.6V×4)全結晶型二次電池(14.4V)液体電解質負極正極固体電解質パッケージ小型化Walking Assist Cyborg (Image)所、国際ファイバー工学研究所の4研究所が、まさに“融合”した特色あるプロジェクトです。特に、生体材料や医療機器の開発を専門にする、バイオメディカル研究所の齋藤直人所長(生体医工学)と、生活動作を支援する体外装着型のロボティックウェア「curara®(クララ)」の開発者である国際ファイバー工学研究所の橋本稔教授(ロボット工学)、サイボーグ技術には不可欠といわれる、全結晶型二次電池の開発に、環境・エネルギー材料科学研究所の手嶋勝弥所長(蓄電池部門長)が中心となります。プロジェクトでは、現在開発中の歩行アシストロボットと非接触充電バッテリーを小型・軽量・高性能化し、骨折治療に使われる骨髄内釘手術を応用して脚などに埋め込む技術を開発します。装置の生体安全性などの課題を乗り越え、最終的には自分の脚の動きを検知してモータが起動し、自然に歩行できるシステムを目指します。また、モータやセンサ、バッテリーなどの開発で定評のある国内企業との産学官連携体制を組んでいきます。信州大学の特色ある研究領域に資源を集中配分し、新たな融合研究領域を創造する先鋭領域融合研究群04理想であり、究極なのか。実現する快適な未来
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