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65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は、平成25年9月には25%となり、今後ますます増加していくと見込まれています。また約20年後の平成47年には、その割合は33.4%、3人に1人が高齢者となると予想されます。(※1)当然介護を必要とする方も増加。自立歩行が困難な方も増えていきます。生活する上で、自らの足で歩けないことは、心にも多大なストレスを与えます。自分の足で歩く、それは失って初めてわかる人間本来の喜びです。信州大学は2015年4月から、国の支援を受け、体内埋め込み型の歩行アシスト装置、すなわちサイボーグ技術の開発を行っています。すでに実用化の一歩手前にある体外装着型の歩行アシストロボットに残る、装着や持ち運びの手間、活動場所の制限などの課題を解決するもので、実現すればもちろん世界で初めてとなる試みです。ロボット技術を介護に活用することは、「日本再興戦略」にも組み込まれる施策になっています。すでに実用化され、医療機器としての認定を受ける介護ロボットも現れ始めました。経済産業省と厚生労働省の働きかけの下、介護ロボットとして5分野の重点項目が発表されています。「移動介助」「移動支援」「排泄支援」「認知症の方の見守り」「入浴支援」。再び自立歩行が出来るようになり、体内埋め込み型に発展出来れば、多くの項目は解決され、介護者の負担も大幅に軽減されます。つまり、自立歩行出来るようにな3人に1人が高齢者となる時代が迫っています理想を追求すると「体内埋め込み」になる日本初の医・工・繊維連携先鋭領域での融合研究介護とロボットはさらに密接な関係になるった本人だけではなく、その方の周辺にも貢献する。それだけ「歩行アシストサイボーグ」の成功は、社会に大きなインパクトを生み、期待されるプロジェクトなのです。体内埋め込み型技術が理想とされる大きな理由は3つ。そのひとつは「介護者不要」。歩行障害をサポートするロボットという概念では、現在はアシストスーツなどを“外部装着”する必要があり、高齢者や障がいのある方には、なかなかひとりでの装着は難しいものがあり、手助けする方が必要でした。この補助をする方が要らなくなります。二つ目は「持ち運び不要」。例えば旅行など、遠くに行く際に、これまでのロボットスーツは大きな荷物として“持ち運ぶ”必要がありました。この心配が要らなくなります。三つ目は「使用環境を選ばない」。例えばお風呂やトイレ、当然その都度、着脱の必要がありましたが、その面倒さから解放されます。理想であり、究極形とも言われるこれらの新しい仕組みですが、この夢の技術を実現するためには、様々な課題もあります。体のどの位置に、どのようにモータや固定ロッドを埋め込み、脚を動かすか、モータやバッテリーなどの小型・軽量化・耐久性、さらに体内で安全に機能させることなどを解決する必要があります。プロジェクトが終了する5年後には、ある程度これらの課題に道筋をつけ、さらに小型・軽量化した「curara®」を実用化し、体内埋め込み型の歩行アシストサイボーグ技術をプロトタイプの作製段階にまで到達させる計画です。本プロジェクトは、信州大学の医療機器開発/脳神経疾患治療/運動機能評価技術(医学)とロボット/バッテリー/カーボン/ファイバー技術(工学・繊維学)を結集した日本初の医学・工学・繊維学分野の連携研究です。また組織では、信州大学の特色ある先端研究を結集した先鋭領域融合研究群のバイオメディカル研究所、カーボン科学研究所、環境・エネルギー材料科学研究❶介護者不要体内埋め込みだから着脱不要、ひとりで完結❷機器の持ち運び不要気軽に旅行や外出ができ行動範囲が広がる!❸使用環境を選ばないお風呂やトイレなど、着脱の煩わしさから解放体内埋め込み型が理想とされる理由3つの特 徴03(※1)総務省統計局発表資料「統計トピックスNo.90統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」よりなぜ、体内埋め込み型がサイボーグ技術が

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