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11各地に伝わる多彩な御柱飯山市小菅神社の柱松柴燈神事 塩尻市小野  生島足島神社に施される、「お道具」と呼ばれる装飾が特徴的だ。柱の中ほどに男根をかたどったお道具をつけ、柱の峰には三日月様と呼ばれる太陽と月をかたどった女神が祀られる。男性を象徴する飾りと女性を象徴する飾りをまとった御柱を立てて、子孫繁栄と五穀豊穣を願う祭りだ。この他にも、「松子」の名で親しまれ、国の重要無形文化財として登録されている飯山市小菅地区の柱松柴灯神事。これフォーラムの会場は上田市の生島足島神社斎館。諏訪大神の祀られる同神社でも、数えで7年に一度御柱祭りが開催されている。開会に先立ち、同神社の氏子総代長の依田延嘉氏は、「昔と比べ、祭りに参加する人々の様子や、その担い手も変わってきている」と述べたうえで、「神社としても7年に一度行われる御柱をどう守っていけばいいかと頭を悩ませている。今日の機会にその意義や歴史について学び考えたい」と意気込みを語った。フォーラムは、各地の祭りの映像を上映しながら、それについてパネリストらが解説し、ディスカッションする、という形で進行。信州大学地域戦略センター長の笹本正治学術研究院教授(人文科学系)をコーディネーターに、長野市立博物館の小森明里氏を特別招聘パネリストとして迎え、またケーブルテレビ局から5名のスタッフもパネリストとして登壇した。「もともと諏訪大社は信濃の国の一宮(※)として、信州の氏神様のような役割を持っていた神社。そのためかつては信州の人たち全体が御柱祭りに参加していたが、江戸時代に入り、藩の成立によって信濃国全体の奉仕がなくなり、各地の祭りが極めて独自性を持つものになった」と笹本教授。「今日は御柱にまつわる様々な祭りの映像を見ながら、信州という地域の文化の多様性や、祭りが持つ可能性を皆で考えたい」と、その趣旨を説明し、フォーラムをスタートさせた。フォーラムでは、小野神社や会場となった生島足島神社の御柱祭りなど、全部で県内11ヵ所の祭りの様子が上映された。一般的な御柱祭りと聞いて連想されるような、太い柱を切って曳いてくる祭り以外にも、細い柱に装飾をほどこして建てるというものや、2本の柱を建てて競って火をつけるものなど、地域ごとに驚くほど多彩な祭りが行われていることが、映像を通して明らかとなった。例えば、安曇野市三郷一日市場東村の道祖神祭りは、道祖神の横に建てる御柱祭りの意義や文化の多様性を考える機会に(※)一宮(いちのみや)・・・神社の社格を示す格式の一つで、各地域の中で最も格式が高いとされる神社を一宮と呼ぶ。一宮に継ぐ社格として二宮(にのみや)、三宮(さんのみや)と続く。おんばしら今年開催となる諏訪の御柱祭に合わせ、県内各地で行われる御柱祭りや御柱にまつわる祭りに焦点を当てたフォーラム「我がふるさとの御柱」が2月14日、上田市の生島足島神社で開催された。これは、地域振興を目的とした信州大学と日本ケーブルテレビ連盟信越支部長野県協議会との連携協定に基づく取り組みで、今回で4回目の開催となる。「御柱」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは諏訪湖を囲んで上社と下社、4つの境内を持つ諏訪大社の御柱祭だが、諏訪地域以外でも、長野県内各地で様々な御柱祭りが行われている。また、それ以外でも、「柱」にまつわる多くの祭りが今に伝わる。フォーラムでは、県内のケーブルテレビ各局がこれまで撮りためた各地の祭りの映像を持ちより、それを検証しながら、その多様性や魅力、祭りの意義について、パネリストらが解説し、幅広い議論を展開した。なおこのフォーラムはそのまま番組化され、後日ケーブルテレビ各局で放送される予定だ。(文・鹿野 なつ樹)おんばしらおんばしらさいいくしまたるしまいちのみやはしらまつさいとうしんじひ◆ 司会・コーディネーター◆ パネリスト ◆ 特別招聘パネリスト 小森 明里さん長野市立博物館 学芸員笹本 正治信州大学人文学部教授地域戦略センター長エルシーブイ滝沢 秀博さん上田ケーブルビジョン清水 望和さん飯田ケーブルテレビ平澤 徹さんテレビ飯山中澤 優比さんあづみ野テレビ織部 夏子さんささもと しょうじ こもり  あかり

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