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073Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機器を気軽に使うことのできる、ものづくり工房「FabLab Nagano(ファブラボ長野)」が、2016年5月、信州大学教育学部(長野キャンパス)内に誕生しました。旧附属学校の空き施設をリノベーションした空間で、デジタルからアナログまで、ものづくりに関わるありとあらゆるツールを備えています。そもそも「FabLab」とは、デジタル工作機器を個人がより気軽に利用することで、自由な、ものづくりの可能性を広げることを目的とした市民向けの、ものづくり工房のこと。アメリカの大学で実験的に始まり、現在、世界各国で開設する動きが広がっています。大学がFabLabを運営するケースはこれまでもありましたが、学外にも開放する所は少なく、しかも教育学部がFabLabを運営するのは初めてとのこと。現在はまだβ(ベータ)版(※1)で、イベント時のみ一般に開放していますが、2017年度中に自由に利用できるスペースとして正式にオープンする予定とのこと。その仕掛け人である教育学部の村松浩幸学術研究院(教育学系)教授と、運営を担う学生達を訪ねました。(文・柳澤 愛由)世界のものづくりコミ発想が変わる!デジタル工作機械を使った新しい ものづくり体験※1)β(ベータ)版・・・ソフトウェアなどで正式な製品が出る前の試作品。FabLabでは試験運用中のラボをβ版と呼んでいるFabLabの「ファブ」には、「Fabrication」(ものづくり)と「Fabulous」(楽しい・愉快な)の2つの意味が込められているといいます。「もともと、FabLabを通じたものづくりコミュニティが長野で作れたらおもしろいだろうと思っていたんです。そうした中、約1年前、(株)アソビズム 長野ブランチと出会い『長野でおもしろいことをしたい』という共通の思いもあったことから、社会実験的な共同研究の一環として、ものづくりのコミュニティを作ることを目的としたFabLabを立ち上げることになったんです」(村松教授)FabLab Naganoを教育学部と共同で運営する(株)アソビズムは、スマートフォン向けゲームの企画開発などを行う東京に本社を持つ企業。長野市にあるオフィス「長野ブランチ」では、プログラミングなどのこれからの時代を生きるうえで重要とされるICTや、それを身につけるための探究力、創造性などを、楽しく学び育てるためのワークショップ「未来工作ゼミ」の企画運営も行っています。こうして、「おもしろいことをしたい」という村松教授とアソビズムの共通の遊び心と、「遊び」を生み出すプロの感覚を取り入れながら、実践型の市民工房FabLab Naganoは誕生しました。村松研究室のほか、デザイン学を専門とする蛭田直(学術研究院(教育学系)助教)研究室も運営に参画しています。現在、世界80カ国、1000カ所以上にそのネットワークが広がり、日本でも18カ所が運営されているFabLab。NPO法人、企業、個人と運営形態は様々ですが、そのどれもが「FabLab憲章」という共通の理念を掲げ、緩やかなネットワークを形成してい遊び感覚を取り入れた実践型の市民工房誕生欲しいモノを「探す」ではなく「創る」という新発想教育学部の教育学部とのコラボは日本初!レーザーカッターや3Dプリンタなどを使って実に様々なものを作ることができる。ここにいると確かに、モノは探すより作ろうという発想になる。

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