環境報告書2016|信州大学
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特 集  私は2013年3月に信州大学大学院農学研究科修士課程を修了しました。その後すぐに(独)国際協力機構JICAの海外ボランティア制度である青年海外協力隊に参加し、中米パナマ共和国で野菜栽培の指導を行いました。2015年に日本に帰国し、現在はフリーランスの農業コンサルタントとしてアジア・中南米・アフリカで農業指導を行っています。 今回は2015年11月から2016年2月まで南米ボリビア多民族国ウユニ市で実施した環境改善プロジェクトについて報告させていただきます。1.南米ボリビア多民族国ウユニ市の環境問題 南米にあるボリビア多民族国は南米最貧国のひとつであり、インディヘナとよばれる少数民族で成り立っている国です。ボリビアにあるウユニ塩湖は鏡張り現象がみられる絶景スポットとして、日本でも有名です。 そのウユニ塩湖では、近年観光客の増加に伴い環境汚染が問題になっています。具体的には汲み取り式トイレの汚物が適切に処理されていないこと、ごみの回収と分別が行われていないことです。そこで、私は青年海外協力隊のOB2名とウユニ塩湖ツアーを運営する旅行会社と協力し、ウユニ塩湖の環境改善プロジェクトを始めることにしました。2.クラウドファンディングによる資金調達 ウユニ塩湖の環境改善プロジェクトを行うために、2015年11月からウユニ塩湖へ行き環境汚染の調査を行いました。そして、改善プロジェクトを始めるための資金をクラウドファンディングというインターネットを利用した募金活動で集めることにしました。2016年1月からReady forというサイトで募金を始め、わずか一週間で100万円の活動資金を集めることができました。最終的に120万円が集まり、その資金で環境改善プロジェクトを始めました。3.ウユニ市での環境改善活動 ウユニ市で行ったことは主に3点です。一つ目はバイオトイレの建設。バイオトイレとは富士山や屋久島で利用されている微生物を利用したトイレで、環境負荷が小さいことが利点です。そこで汲み取り式トイレの代わりにバイオトイレをウユニ市に設置することにしました。建設準備は終了しましたが活動期間内に建設することができなかったので、今後建設する予定です。 二つ目は中学校の生徒への環境教育です。ウユニ市にある中学校でごみ問題をテーマにしたワークショップを開催し、子供たちへごみを分別して捨てることの重要性を教えました。そして、子供たちと一緒に分別用ごみ箱を作り、中学校へ寄付しました。 三つ目はごみ拾いイベントの開催です。ウユニ塩湖を訪れた日本人観光客を集め、ウユニ市でごみ拾いイベントを2回開催しました。この活動はボリビアの新聞にも取り上げられ、私たちの活動を知ってもらうきっかけになりました。 これまでの活動はウユニ市役所と協力しながら進めて来ましたが、今後はNGOや企業とも協力しながら活動する予定です。南米ボリビア多民族国ウユニ市での環境改善プロジェクト環境と生きる人づくり(OB・OGの環境活動)農業コンサルタント(フリーランス)  宮﨑 大輔さん宮﨑 大輔・みやざき だいすけ2013年 信州大学大学院農学研究科修士課程修了2013年 JICA青年海外協力隊として中米パナマ共和国へ渡航2015年 フリーランスの農業コンサルタントとして独立ごみ拾いイベントに参加した日本人観光客ウユニ塩湖に放置されたトイレの人糞ウユニ市のごみ捨て場中学校で分別用ごみ箱を作成16

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