人文学部案内2017|信州大学
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21From Professorsでもなかなか作家名やタイトルといった固有名が入ってこないですね。もちろん作品あればこそなんだけど, やはり作家名ぐらい覚えないとね。僕は評伝が好きなんですよ。他に還元し得ないその人の特殊性がどうにも気になって仕方ない。先生の講座で現代文学を研究することはできますか。できます。でも, 一つの小説を集中的にというのは違うかな。複数のものをつなぐ, 境界をまたいでみることが比較文学の立場なので。つまり, 新しくてもよい。そう。古代ギリシアでも現在でも。時代・地域・ジャンルは問いません。絵本でもだいじょうぶ。おもしろい研究分野ですよね。比較文学という専攻分野がある大学自体, そんなに多くないと聞いたことがあるのですが, さらに踏み込んで, 比較文学を松本, 信州で学ぶことの意義や魅力って何でしょうか。たとえばね, 日仏の文化比較をするとなると, 日本的なもの, フランス的なものといった単純な話になりがち。日本はもたれ合いの文化で, フランスは自立した個人の文化だとか, 面白くないですよね。そうならないためには別の視点, たとえば同じ日本といっても違うな, 単純化してはいかんな, といったローカルな視点を支える場所が必要。この意味で松本という街はほどよいかもしれませんね。国宝のお城があって, カフェや劇場, ギャラリーもあって, バランスがとれている。都会じゃないけど, 田舎でもないなあ。密度がありますよね。そう。でも, それって松本だけじゃないよねえ(笑)。より大切なのはね, 信州大学には比較文学の伝統があるということです。北欧神話などの貴重な蔵書もあるし, 何よりも自由な雰囲気がありますね。少人数制の教育だから懇切丁寧な指導なんだけど, 押しつけではなくて, どんなことにもとことんつき合おうという感じ。学生はいろんな研究が可能です。比較文澁谷̶澁谷̶澁谷̶澁谷̶澁谷

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