環境報告書2015|信州大学
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■特殊な黒鉛を用いて、随伴水を一時処理 随伴水は石油などの資源を採集するときに一緒に出てくる水と油分の混合液体で、通常は油分を除去して利用し、残りの水は自然環境にもどされる。これをRO膜で処理しようとすると、すぐに油分で膜が詰まってしまう。特殊な黒鉛を使い、この随伴水の油分を大幅に減らす一次処理ができることがわかった。油と水を含んだ随伴水に、磁性体を混ぜた特殊な黒鉛を入れ、撹拌すると、黒鉛が油をきれいに吸着してくれる。水の中から油分を選択的に吸着していることがわかった。■今後の抱負 RO膜は50年近い歴史がある技術。それにナノカーボンを使ってイノベーションを創造するために努力していきたい。かつてカーボンファイバーを作ろうとしたとき、炭で糸ができるのかと言われた。しかし、本当に頑丈な糸が完成し、東レをはじめ日本メーカーが世界の7割を生産し、宇宙・航空・自動車分野での重要素材になった。従来の高分子を使った膜は白いが、カーボンを使った黒い透水膜ができるようになるだろう。我々は、ナノカーボンの安全性や環境保全にも十分配慮したうえで、カーボンファイバーに続く、次なる炭素イノベーションをこの造水膜の分野で起こし、人類貢献につなげたいと念願している。特集アクア・イノベーション拠点世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献する10

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