工学部研究紹介2016|信州大学
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光(電磁波)を利⽤した⾃然情報の計測装置の開発情報⼯学科冨⽥研究室研究から広がる未来卒業後の未来像私たちは光に満ちた世界に生きています。光によって身の回りのモノが見えますね。光のおかげで形や色といった身の回りの情報を得ることができているのです。光とは電磁波の一種で目に見えるものを差します。電磁波には紫外線や赤外線、X線など多くの種類があります。電磁波は波長の違いで様々な名前や性質をもちます。もし私たちが今見ている光以外の波長をもつ電磁波も見ることができたならば、周りの世界は大きく変わります。私たちの目では光以外の電磁波を見ることができませんが、それらを見ることができる特殊な装置(検出器)を利用することで、人が見ることでは得られない情報を知ることができるのです。冨田研究室では、目に見えない電磁波である紫外線のレーザーを利用して、大気中に浮遊する微細な粒子を測定する装置を開発しています。この技術は工学分野での活躍も多いにありますが、物理学、地学、農学といった様々な分野での応用が期待されます。目には見えない電磁波(光)の可能性を追求することで、今まで見られなかった新しい世界が見えてきます!卒業研究において学生は与えられたテーマに対し、自ら手法の立案、計画、実験を行います。その過程では装置の開発からデータ収集、解析までを行っています。その結果を隔週の報告会で発表します。これにより、研究テーマの分野における知識のみならず、プロジェクトの中心として推進する総合的な能力を身に付けることができ、社会で活躍できる応用力を高めることができます。冨田孝幸助教2006年山梨大学卒業、2008年山梨大学大学院修士課程了、2012年山梨大学大学院博士課程修了。理化学研究所特別研究員を経て2014年信州大学助教に着任。超高エネルギー宇宙線の実験やレーザーによる遠隔検知の研究を中心に行っている。紫外線レーザーを用いた遠隔観測装置のイメージ:大気中の浮遊物質に紫外線を照射することで発する蛍光を観測します紫外線レーザーを用いた遠隔観測装置と観測の様子:大気中の花粉、粉塵の遠隔観測を粉っています画像合成によるノイズ除去。フラッシュ画像(左)の模様とノンフラッシュ画像(中央)の色合いを合成して作り出された画像(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm人間の知覚に近い画像の作成。撮影された画像(左)から被写体部分を検出して(中央)、背景をぼかして被写体を際立たせる(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cm情報⼯学科⽩井研究室研究から広がる未来卒業後の未来像画像処理にはノイズを除去する以外にも、まだまだ解決すべき問題が山積みです。ボケた画像を元に戻したり、影や光の反射で見難くなった部分を戻したり、ガラス越し写真の映り込みを消したりと、どれも難しい問題ですが、解決できれば、今よりもさらに綺麗な画像が得られます。得られる画質が向上すれば、その応用分野である画像認識を用いた防犯セキュリティーシステムや、ロボットによる人間の代理行動などの精度も向上していくと考えられます。画像処理というとカメラメーカーを連想しますが、画像処理や画像認識の需要は産業界全体に広がってきていて、電機メーカーや車メーカー等に卒業生を排出しています。また、ゲーム業界などのエンターテイメント分野に進む卒業生もいます。白井啓一郎助教慶応義塾大学博士課程を経て、2006年より現職。研究分野は画像処理や3D形状処理といった多次元信号処理。暗闇や逆光でも綺麗に撮影。失敗しても後から修正夜の星空やホタル舞う幻想的な景色を撮影したけど、思うように写っていなかった。そういう経験はありませんか?暗い場所での撮影は難しく、ノイズが発生しやすくなります。一方、フラッシュを使えば写りはするものの光量の調整が難しく、景色の色合いは白く薄れがちです。でも画像処理を使えば、フラッシュ画像の模様と普通に撮影した画像の色合いを合成して、綺麗な画像を作り出すことが可能です。白井研究室では、人の目で見た景色の「画質」や「臨場感」の再現を目的として、画像処理の研究を行なっています。58
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