工学部研究紹介2016|信州大学
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自分で考えた新しいコグニティブ無線信号を、ソフトウェア無線機を利用して電気信号に変換。伝搬特性などの各種評価が行えるコグニティブ無線環境を評価するシミュレータ環境を独自に開発。無線機の動作を模擬し、端末間の相互干渉監視が可能!⽥久研究室研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科スマートフォンの登場により、携帯電話でインターネットがいつでも利用できるようになりました。ところが、契約者数が回線数を超え、回線破たんにより、すべての携帯電話が不通になる危険が迫りつつあります。その危険を回避する有力な技術が、コグニティブ無線です。無線回線を支える電波は、距離に応じて減衰するため、空間的な隔たりを利用すると、回線の再利用が可能になります。この現象を携帯端末が独自に見つけ出せる、インテリジェントな無線機がコグニティブ無線です。田久研究室ではシミュレーションや簡易無線機の実験を通し、その実現を目指しています。コグニティブ無線により、無線回線を究極的に増やすことができると、人同士の通信だけでなく、物対物との通信にも容易に応用できるようになります。ロボットのリモートコントロールや、近年注目度が高まるスマートグリッド網による、電力の遠隔管理についても、低価格で実現することが可能になります。コグニティブ無線を根幹にした、新たな生活スタイルが登場してくることと期待されます。携帯電話産業は最も活性化している産業の一つです。端末開発、オペレータ、さらにはゲームなどの携帯を利用したコンテンツ開発など、様々な業界から、人材が求められています。通信規格の標準化のため、世界的に活躍する技術者もいます。田久修准教授慶應義塾大学卒業、オーストラリアシドニー大学訪問研究員、東京理科大学嘱託助教勤務を経て、2011年より現職。研究分野は無線通信技術やリソース制御技術。趣味は、愛用のカメラでの撮影と料理。携帯電話の危機的問題を克服するインテリジェント・コグニティブ無線毎週の先生への定期連絡会の様子。議論が白熱して一時間以上にわたることもしばしば研究室に入ってきたばかりの後輩と一緒に先輩も交えての勉強会。おしゃべり好きな先生なのでわき道にそれることも多々・・・杉村研究室研究から広がる未来卒業後の未来像電気電⼦⼯学科学部の卒業研究、修士での研究程度で未来を決める必要はありません。問題をモデル化し解決できる能力があればどのような所でも活躍できます。「いろんなことに興味を持て、特に他人が目を付けないところに・・・。」杉村立夫教授企業、私立大学を経て1991年より信州大学。研究分野は誤り訂正をはじめとするディジタル情報通信の基礎理論。今後の情報社会においては、記録または伝送されたディジタルデータの信頼性が問題になってきます。一口に信頼性といっても、データが誤っていないかまたは信頼できるかという誤り訂正技術の対象や、データが他人に盗まれていないかまたは書き換えられていないかというセキュリティ・暗号化技術の対象があります。杉村研究室ではその基礎理論の展開に努めています。得られたデータに誤りが有るかどうか疑わしいのは論外です。先ずはそのような技術が必要です。そして、誰がこのデータを発信したのかというような認証技術も必要になってくるでしょう。「オレオレ詐欺」などできない個人間の暗号・認証技術が当たり前の未来となるでしょう。n次元空間に張る⾼信頼度空間25
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