農学部研究案内2015|信州大学
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水品善之教授東京理科大学理工学部応用生物科学科助手、神戸学院大学栄養学部栄養学科講師・准教授を経て、2015年4月より現職。研究分野は食品科学・生物化学。農芸化学奨励賞、日本農学進歩賞、日本栄養・食糧学会奨励賞など多数受賞している。果物・穀物・野菜などの食品素材を食べる際に、取り除かれた果皮や外皮は「廃棄物」になります。また、豆類や野菜に水を加えて煮るといった加工・料理すると、煮汁が「副産物」として生じます。実は、このような食品由来の廃棄物や副産物には、人体にとって有用な健康機能成分や栄養素が豊富に含まれています。本研究室では、このような廃棄物・副産物から科学的根拠(DNA合成酵素に対する選択的阻害活性)に基づいた抗がん・抗炎症・抗アレルギー作用をもつ有効成分を見いだして、その成分を新規な健康機能性食品として開発することを目指しています。2015年4月現在、特許出願40件を行っています。⾷品由来の廃棄物・副産物の有効利⽤を⽬指した健康機能性⾷品の開発ABCD食品由来の廃棄物(米糠など)や副産物(煮汁など)の抽出物からDNA合成酵素阻害活性を指標にして、有効成分を単離・精製、化学構造を決定する見いだした食品由来の有効成分を動物へ投与しての抗がん活性(左)および抗炎症活性(右)の試験を実施(主作用の効果だけなく副作用の有無も検討する)科学的根拠に基づいた健康機能性を有する食品成分を摂取することが習慣化されれば、医薬品に依存しない健康寿命の延伸を期待できます。食品企業では、商品の製造・加工の工程で食品産業廃棄物が発生します。これらは原価0円の未利用資源です。食品企業との産学連携研究として、食品産業廃棄物から新規な健康機能性食品の商品化開発を展開しています。商品化の際には大学発ベンチャー企業化を実現させたいです。本研究室での研究経験は、食品会社における商品開発の専門職で活躍できます。また、有効成分や栄養素の化学的な知識・技術を習得できることから化粧品・医薬品開発の専門職も想定しています。その他、大学教員や公的研究機関の研究員としての就職があります。田渕研究室では、植物を材料として形質転換植物作出法についての研究、ストレス耐性やストレス応答性、さらには、植物と微生物の共生に関する研究を行っています。研究テーマは以下の通りです。(1)植物の形質転換系の確立と有用遺伝子の導入:ミントやアジサイを用いて、効率よい形質転換系の確立を目指しています。また、植物による環境浄化を目的として、金属結合性タンパク質遺伝子の導入を試み、得られた形質転換植物体を用いて、金属蓄積性・金属耐性などの解析を行っています。(2)シソリモネン合成酵素遺伝子の発現解析:DNA•RNAレベルでの解析を行う目的で、シソ由来のリモネン合成酵素遺伝子(PromoterとReporter遺伝子とのハイブリド遺伝子)をシロイヌナズナへ導入し,得られた形質転換体の解析を行っています。(3)共生系における根粒菌のシグナルレセプタータンパク質の機能解析: 根粒菌が植物と共生系を確立する過程では、植物との間で種々なシグナルの交換が行われます。研究室では,この過程で働く根粒菌のシグナルレセプターの機能解析を行っています。形成根粒の窒素固定能解析、シグナルレセプター遺伝子のクローニング、シグナルレセプターの発現解析などを進めています。微⽣物や植物の環境応答系に関してメタロチオネイン遺伝子導入ミントアルファルファ根粒植物による環境リフレッシュや窒素源・窒素循環系の効率よい利用法を確立する可能性を開くことが出来ます。田渕晃准教授米国ノースウェスタン大学医学部分子生物学科研究員、信州大学医学部助手を経て、平成7年より信州大学農学部。研究活動を通して習得する問題発見解決力や実践力は社会の種々な局面で活かすことができます。卒業生は食品科学・化粧品産業分野また公務員として活躍しています。根粒中では根粒菌が大気の窒素をアミノ酸に変え植物に供給しています。重金属汚染土壌や湖沼のファイトレメディエーションに利用できる可能性があります。⾷品機能学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⽣命機能科学コース細胞⼯学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⽣命機能科学コース5

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