農学部研究案内2015|信州大学
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⾷品微⽣物⼯学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像池田・竹野研究室では、代表的な産業微生物であるコリネ菌を題材に最新のゲノム科学を取り入れて、より高性能な発酵微生物の創製を目指しています。主なターゲットは、有用脂質とそこから合成されるビタミン(ビオチン等)です。現在、世界のビオチンはすべて石油から化学合成法で作られています。発酵生産には誰も成功していません。『オリジナルで斬新なアイデア』にこだわりを持って、世界に貢献する世界初のバイオ新技術の開発に取り組んでいます。これまで石油から作られていたものを微生物発酵法で生産する、そんな環境調和型のバイオプロセスが開発できれば、地球環境は美しいままでいられるでしょう。高価なものや希少なものを微生物バイオテクノロジーで効率的に作れるようになれば、より多くの人がそれを享受できるようになるでしょう。そんな未来づくりに少しでも貢献したい、それが池田・竹野研究室の原動力です。池田・竹野研究室では、研究力や専門性はもちろん、目的意識をしっかりと持って物事をやり遂げる姿勢を身につけることができます。大学院に進学してさらに研究を続ける学生が多いのが、この研究室の特徴です。多くの卒業生が、バイオや食品関連の会社で研究者や技術者として活躍しています。池田正人教授(左)協和発酵工業(株)の研究者を経て、2004年より現職。研究分野は応用微生物学や代謝工学。竹野誠記准教授(右)2005年に同助手、2007年より現職。研究分野は同じく応用微生物学や代謝工学。斬新なアイデアで画期的な微⽣物を創製しよう!ゲノム情報や代謝マップなど、生命のビックデータを活用し、最新のテクノロジーを駆使して研究を行っている独自のアイデアと最新技術で、脂肪酸やビオチンを生産するコリネ菌が初めて誕生した。現在、生産効率を高める研究を行っている野生株脂肪酸生産菌ビオチン生産菌コリネ菌の電子顕微鏡写真⽣命機能科学コース小嶋政信教授筑波大学大学院化学研究科博士課程修了(理学博士)。信州大学助手、講師、准教授を経て2001年より現職。LEDの特性を活用する植物・菌類の光応答現象の解明と、その技術応用に関する研究を進めている。実験室には、数種の可視光LED照射装置、化学分析用関連機器、分子生物学研究関連機器が設置されている新型インフルエンザ治療薬「タミフル」の製造原料となるシキミ酸を、ヒラタケ菌糸体内で飛躍的に増加させる光技術を開発した(世界11ヶ国に特許出願中:PCT/JP2012/070017)光制御化学研究室では、信州特産のソバとキノコを研究材料とし、発光ダイオード(LED)の特性を利用して、ソバカイワレの光応答挙動や、ヒラタケ菌糸の一次代謝産物に及ぼす光刺激の影響を解析しています。既に、「カイワレとキノコ菌糸の生長形態形成や代謝産物経路を光刺激により制御し、付加価値を産出させる技術」の開発に成功しています。本研究成果は、今後農業の未来を切り拓くことができる農産物の新規光栽培技術の開発や、医薬及び農薬等の製造原料や生理活性物質となる有用物質をキノコ菌から生産する技術に繋がるものと期待されています。植物・菌類の光応答現象の解明に関わる研究を通して、人工光源としてのLEDの特性や、生物の生育環境因子としての光の影響を詳細に学習することができます。卒業後は、食品製造系会社、化学分析系会社、医薬・農薬製造会社で活躍できる人材として期待されています。野菜やキノコの生長・形態形成・代謝には、光は重要な影響を及ぼす環境因子であることは経験的に理解されています。しかし、光波長・光強度・照射時間・明暗周期を厳密に制御した分子レベルでの研究は、これまで報告されていません。野菜やキノコの光応答現象を、光科学、生化学、並びに分子生物学の知識と技術を融合して解析し、この境界領域研究から学術的新知見を獲得するとともに、その知見を産業上に利用しようとする斬新で将来有望な研究として評価されています。ソバカイワレ菌糸体コロニー野菜・キノコの光応答現象を解明し農業の未来を切り拓く光制御化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⽣命機能科学コース1

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