農学部研究案内2015|信州大学
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伴野研究室で開発した赤果肉リンゴ品種‘ハニールージュ’(左)と赤果皮、赤果肉の遺伝子の解析による早期選抜技術の開発(右)自分たちで自ら交配し、種を播き、長年かかって育て、研究を進めることで新しい発見や「新しいくだもの」を創造することに繋がるDNAマーカーを用いて『新しいくだもの』を効率的に創る!伴野潔教授京都大学農学部助手、鳥取大学農学部助手、助教授、信州大学農学部助教授を経て、2003年より現職。専門分野は果樹園芸学。ナシやリンゴなどの落葉果樹の栽培、ホルモン生理、育種などに関心がある。伴野研究室では、ナシやリンゴの新品種を効率的に育成するためにDNAマーカーを利用した育種法の開発や研究を行っています。具体的には、リンゴでは横枝が出にくく作業の省力化に繋がるカラムナー形質や赤果肉形質を導入した新品種の育成、ナシでは複数の病害に抵抗性を持つ新品種の育成を行っています。その他にも、組織培養によるナシとリンゴの植物体再生技術と大量増殖法の開発、リンゴとナシの属間雑種を利用した効率的選抜育種法の開発、ナシのわい性台木の開発などについても研究を行っています。これまでの果樹の育種は、何千もの交配した実生の中から、10年以上かけてようやく開花・結実してくる個体を育てながら果実形質の良好な系統を選抜していました。現在では、播種した個体からDNAを抽出し、期待される遺伝子やDNAマーカーを調べることで、果実の形質や日持ち性などもあきらかにすることができるようになりました。また、これまでになかったような『新しいくだもの』を創ることで、新しい産業や健康で持続的な社会を生み出すことに繋がります。赤果肉リンゴを使用した菓子(右)研究室では、フィールドワークとラボワークを通して農学を実践しながら、互いに助け合うことで社会性を身につけます。卒業後は、公務員、JA等農業団体、食品関連企業などいずれも関連の深い職種につき、全国各地で活躍しています。主にイネ,ダイズ,ソバについて,作物の収量と品質の向上のための栽培技術の改良や開発を行う分野である作物学の研究を行っています。品種改良がAKB48の新メンバーだとすれば,栽培技術の研究は秋元康,つまりタレント(品種)のプロデューサーに相当し,タレント(品種)がもつ魅力(能力)を理解し、引き出して人気(収量・品質)を高める,どんなキャラのタレントが売れるのか(どんな特性を持った品種が必要なのか)提案するといった役割を果たします。現在、コシヒカリの有機肥料による栽培,飼料イネの多収栽培,ダイズ栽培における有機肥料の合理的利用法,過湿条件でも発芽良好なダイズ品種の選抜法,ソバの葉温測定による土壌水分管理の最適化などのテーマで研究しています。世界の人口増加に見合う食料増産が必要ですが,持続的生産のためには石油やリン鉱石(リン酸肥料の原料)等の有限資源の使用削減が必須です。また,不良環境での生産向上も必須です。今の時代の人だけでなく,未来の人も食べていけるような農業への変革が求められています。未来のあるべき農業は生態系と生物機能をより巧みに利用した高度な資源循環システムでしょう。このようなシステムに一歩でも近づいていくため、有機肥料,土壌の乾燥や過湿といった栽培条件での土と作物との相互作用に注目して作物生産の向上・安定を目指しています。生産現場を支援する都道府県農業改良普及センター職員やJA職員として活躍できます。また,国家・地方公務員の行政職や技術職の立場で農産業の発展に貢献することもできます。種苗や農業関連資材・機材の生産販売を行う企業,食品メーカーでも卒業生が多く活躍しています。萩原素之教授石川県農業短期大学助手,信州大学農学部助手,同助教授を経て,2003年11月から現職。食料生産の向上・安定のため,低投入条件や不良環境下での作物の生育と収量の改善策を探る。品種(遺伝⼦)だけで勝負は決まらない作物の才能を発揮させるproducer:作物学実験風景:作物の生育状況の調査、根が吸収した窒素の化学分析による定量、光合成測定などを行う電子顕微鏡レベルから生産現場まで大学内での研究だけでなく、現場に出かけることも(農家水田でのイネの収量調査の合間に「農魂」にふれる)過湿条件でのダイズの発芽試験希少なモチ米品種「白毛餅」の栽培実験ダイズ種子の電子顕微鏡観察ソバの葉温の放射温度計による測定果樹園芸学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像作物学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース植物資源科学コース20
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