2014環境報告書|信州大学
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栄村の小赤沢から世界へ発信する小水力発電のモデル作りへ栄村の取組み地表水の利活用モデルとなる小水力発電の実装実験が栄村小赤沢地区で2013年10月18日から始まっています。小水力発電の研究を行なってきた自然科学研究グループの池田敏彦名誉教授に小水力発電利用が持つ可能性と地表水利用の課題についてお聞きしました。 地下水では、安曇野市をフィールドに市民の地下水への意識調査を行っています。市民が地下水に対してどのようなイメージを持っているかを把握し、地下水の保全や地下水利用空調システムといった新しい技術を導入するためのルール作りや提言の準備を進めています。■文理融合型のプロジェクトというのは 同プロジェクトの大きな特徴は、学問領域を超えた文理融合で進められている点です。 社会科学研究グループ(人文学部・経済学部主体)、自然科学研究グループ(工学部主体)、マネジメントグループ(地域共同研究センター・産学官連携推進本部主体)の3つのグループが有機的に連携しながら研究を進めています。 新しい技術を導入していくには、その技術がいかに素晴らしくても、地域の人との合意形成や心理的なバリアを克服しなければ、うまくはいきません。技術を変えるだけでなく、社会や地域の意識も変えることが、本当のイノベーションであり、私たちの使命だと思っています。つまり、イノベーションとは、単なる技術革新ではなく、社会革新と捉え変える事が重要ではないでしょうか。■プロジェクトのこれからの展望について 地表水と地下水というのは、長い時間をかけて、巡り巡っているものです。雨が降り、森林に涵養され、川を伝って海に流れていきます。 このような位置エネルギーをもった水(流れている水)があるというのは、日本の大きな資源です。これだけ豊富にある水資源がエネルギーとして利用されていないというのは、非常にもったいないことです。 栄村と安曇野市での調査・研究を通して、水資源の保全と利活用を総合的にマネジメントするモデル作りを進め、信州型の水マネジメントを提言していきます。■水力発電実装実験から見る 水資源のエネルギー活用について 今回設置された小水力発電装置は、小赤沢地区を流れる湧水が小赤沢川に落ちる急峻な傾斜地の落差を利用して発電を行なっています。 場所の選定には、村内8カ所の候補地を調査しました。その結果、水が安6

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