2014環境報告書|信州大学
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卒業論文卒業論文繊維学部 機能機械学課程 繁田 憲吾理学部 地質科学科 市川 由依粉塵も臭いも同時に除去可能なシャワークリーニングシステム 昨今、環境汚染が大きな社会問題となっており、例えば、ごみ集積施設、工場などからの排出ガスには、粉塵のみならず環境汚染ガスや悪臭成分も含まれており、サイクロン、バグフィルター、電気集塵機といった従来の集塵システムだけでは対応できない。そこで当研究室では、図1に示すようなシャワークリーニングを利用した除去システムについて研究を行っている。本システムの大きな特徴として、排気ガスをシャワー部流入前に加熱・加湿(水蒸気添加)することにより、図2に示すように排気ガス中の水蒸気が低温の液滴表面に直接接触凝縮し、その際の液滴に向かう蒸気流により効率的に汚染物質を水滴に捕集することができる。単なるシャワーでは空気流が液滴を避けて流れるため、微細な粉塵や臭気に対しては効率的な捕集ができない。これまでにミクロンオーダーの粉塵や代表的な悪臭成分であるエチルアミンについては90%以上捕集できることを確認している。さらにサブミクロン粒子についても有効であり、シャワー密度の影響を明らかにした。汚染ガスを本装置に通すだけで、出口では粉塵も臭いもクリーンな状態になっており、非常に優れたクリーニングシステムといえる。千曲川沿い長野県塩崎遺跡群における完新世の洪水堆積物 千曲川は長野県南東端に源流をもち日本海にそそぐ日本最長の河川である。千曲川は旧石器時代から人類に生活の場を与えてきた一方で、環境の変化に伴って土石流や洪水災害を多発させてきた。長野市南部千曲川沿いの弥生から平安期の大規模集落遺跡、塩崎遺跡においても、層厚1mを超える2層の洪水砂層が認められた。そこで、この2層の洪水砂層に着目し、野外調査において地層の積み重なりと広がりを観察し、遺跡全体の堆積環境の変遷を考察した。地層中の遺物の年代と地層の積み重なりから、2層の洪水砂は平安期の仁和の洪水と江戸期の戌の満水のものであると推定した。両洪水ともに千曲川の二大洪水といわれており、当時甚大な被害をもたらしたことで知られている。 塩崎遺跡周辺には、千曲川へ流れ込む支流により2つの扇状地がつくられている。遺跡はこの2つの扇状地と千曲川に挟まれた場所に位置し、環境変化に伴うこれらの地形変化の影響を受けてきた。塩崎遺跡形成以前の縄文期は最終氷期が終了し、温暖になっていく時期である。したがって、この時期には、河川からの堆積物供給の増加により扇状地が拡大し、それに押されて千曲川の流路変更が起こったと考えられる。これに伴い、遺跡周辺は河道跡の湿地から自然堤防の微高地へと変化していき、この微高地に弥生期から平安期の集落が形成されたと思われる。ここに仁和の洪水と戌の満水が襲来した。平安期の仁和の洪水砂の堆積により、住居から耕作地へと土地利用が変化したことも分かった。また、耕作土は厚さ1mにも及び、氾濫の度に堆積物を懸命に耕作していたことが読み取れる。先人達は自然環境と闘いながらも共に歩んできたのであろう。卒業論文図1 シャワークリーニング装置図2 液滴への凝縮による蒸気流の効果2環境への取組み2-1 環境教育2-1 環境教育31

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