2014環境報告書|信州大学
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2環境への取組み2-1 環境教育2-1 環境教育環境教育海外研修・ポルトガル・ドイツ平成25年度グローバル人材育成事業2014年3月13日~20日2014年3月13日から20日にかけて、人文学部の教員と有志の学生5名が、ポルトガルとドイツの環境教育の活動の拠点(RCE)を訪ねた。株丹洋一教授は、文系学部の教員や学生が積極的に参加できる環境教育として、ESD(Education for Sustainable Development =持続可能な開発のための教育)を挙げている。教授と学生たちは、この活動拠点であるRCE(Regional Centers of Expertise on Education for Sustainable Development)を調査し、ESDを軸にした環境教育の方法、環境行動力を身に付けるヒントを探った。■参加者 学 生 荒山 健人、石井 翔太、奥原 萌、尾崎 薫、工藤 詩穂(5名共、人文学部) 教 員 株丹 洋一学術研究院教授(人文科学系)[人文学部教授]     伊藤加奈子学術研究院准教授(人文科学系)[人文学部准教授]■日本が提案し、国連で採択されたDESD ESD=持続可能な開発のための教育とは、持続可能な社会の実現をめざし、行動する人材を育てる教育のこと。開発は環境の視点ばかりではなく経済や社会問題の分野も含まれ、総合的に持続可能なこれからの社会を築くためのものだ。 2002年ヨハネスブルクサミットで、日本政府と日本のNGOが提案し採択された「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」(2005年~2014年)を受け、各国でESDがいっそう取り組まれるようになった。国連大学が認定するESDの拠点RCEは、世界中に117拠点あり、日本では6カ所の拠点がある。ESDはユネスコスクールを拠点に、小中学校での取り組みが多いが、決して子どもたちへの教育ばかりではなく、すべての世代を対象としている。RCEでは教育機関を中心に、地域の生涯学習の場、町会、婦人会、商工会議所などと協働しながら、地域で環境活動をするための教育が行われている。■情熱があればこそ 今回訪問した3カ所のRCEは、傷ついた野鳥たちの手当を行っているCRASM(クラズム=モンテジュント自然生物救命センター)、植樹を中心に活動しているポルトガルカトリック大学が事務局を担うRCEポルト広域圏、そしてドイツのRCEミュンヘンだ。 CRASMは数人の個人のグループが運営し、RCEポルト広域圏は大学が運営している。RCEミュンヘンでは市が運営資金を出し、6人の専任スタッフが活動している。持続可能なビジネス発展の推進、指導者・一般への教育トレーニング、イベントや講習会、学習会の開催など、スタッフの人数が多い分、活動も多彩で幅が広い。その中で株丹教授は「今回の研修の目玉はCRASM」だったという。 「環境実践力をつけるのは、“頭”ではないと思っています。スペインやドイツの他のRCEも訪問しましたが、デスクワークを主にしているスタッフから業務の説明を聞いても、なかなか自分もやろうとは思えません。CRASMでは、数名の有志がボランティアでお金を出し合って建物をつくり、本業の傍ら週末には森の中へ行き、傷ついた鳥がいたら連れ帰って介抱し、手当てをして自然に返すという活動を続けています。昨年初めてCRASMを訪れた際、その熱意に感銘を受けました。学生たちに、そういった活動に直に触れてほしいと思いました」 教授は、30年近く前にテレビで、汚染された海水のせいで浜辺に打ちあげられたあざらしの赤ちゃんの死体など、環境破壊のショッキングな映像を見た。 「今まで自分は何をしてきたのか、自分には何ができる■日程 3月13日(木) 成田空港に集合 ▲ ミュンヘン ▲ リスボン  14日(金) リスボン ▲ ヴィメイラ  15日(土) CRASM訪問調査 ▲ ナザレ  16日(日) ナザレ ▲ ポルト  17日(月) ポルトガルカトリック大学訪問調査  18日(火) ポルト ▲ リスボン  19日(水) リスボン ▲ ミュンヘン  20日(木) RCEミュンヘン訪問調査 ▲ 現地で解散CRASMのパンフを手に。中央に株丹教授1ポルトガルカトリック大学2CRASMでフクロウのシャンディに触れる3RCEミュンヘンのスタッフと公園で■2■1■327

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