2014環境報告書|信州大学
10/56

学術研究院准教授(人文科学系)[人文学部准教授]岡本 卓也研究領域 社会心理学・集団力学・コミュニティ心理学2009年関西学院大学社会学部助教。2010年に同大准教授を経て、2012年より現職。水空調システムといった技術の導入を進めていくためには、地域住民や行政、企業との意識の共有が必要不可欠です。 そこで、本プロジェクトでは、安曇野の地下水利用の実態や水利権認識を明らかにするため、安曇野市民を対象に地下水に対する意識調査を2014年1月に行ないました。主な目的は、次の3点を明らかにすることです。1  安曇野市に賦存(ふぞん)する水資源および、地下水の保全・涵養及び適正利用に関する条例に対して、市民がどのように認識、評価しているのかを明らかにすること2  水資源の活用、およびそのための新技術に対する意識を明らかにすること3  水資源の活用に対する意識向上のための要因を探ること 安曇野市に居住する20歳~79歳の男女2000名を対象に実施し、そのうち1255人の方から回答を頂きました(回収率61.25%)。■アンケート調査から見えてきた 市民の地下水への意識 地下水と地表水の水利権に対する意識を尋ねたところ、地下水は地表水に比べて、取水した人や土地所有者のものであるという意識が高く、公共財としての意識が低い事が分かりました。 続いて、地下水を保全・活用していくためにいくら位であれば負担していいと考えているか、という問いに対しては、年間501円~1000円と考えている人が約3割で一番多く、平均では2503円となりました。 また、地下水の減少について知識がある人ほど、寄付金額が高い傾向にあるということも分かりました。安曇野市の地下水が減少した理由について、表1の項目がそれぞれどの程度当てはまると思うかを、5段階評価で尋ねたところ、「地下水の利用に関する情報不足」が最も高く、「国や特 集信州型水マネジメントモデルを探るRISTEX研究プロジェクト信州大学RISTEXプロジェクトレポート学術研究[人文学部岡本 民ように認識、評価るをこと2  水資源の活用、およ新技術に対する意識をこと3  水資源の活用に対すための要因を探る■地下水・地表水は誰のものか■表1 地下水減少の理由■地下水の 減少について■地下水保全・ 涵養条例について■地下水空調 システムの導入賛否■地下水空調 システムの知識その他国や県など公のもの地域の人たちのもの水がわき出している土地の所有者のもの取水した人のもの025%50%75%100%地下水地表水Χ2(4)=106.19,p<.001大変良いことだと思う(336)全く知らなかった(781)全く知らなかった574(47.44%)全く知らなかった324(27.16%)詳しく知っている(11)詳細を知っている9(0.74%)わりと良いことだと思う(585)あまり良いことだと思わない(214)聞いたことはある(313)制定されたことは知っている531(43.88%)減少していることは知っていた324(27.16%)中身についてある程度知っている96(7.93%)減少量まで知っていた324(27.16%)ある程度知っている(108)良いことだと思わない(38)[ n= 1,173 ][ n= 1,213 ][n=1,210][n=1,213]1 地下水利用の情報不足2 涵養場所の不足3 国や地方自治体の啓発活動不足4 市民意識の低さ5 保全制度が無いこと6 事業用としての地下水利用7 一般家庭での水道水利用8 保全技術の不足9

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です