2015工学部案内|信州大学
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 水は飲み水や食糧面だけでなく、広く資源と関わる大切なものです。水を浄化するということは水の中から様々なものを取り出すことでもあります。石油を、鉱物を、水の中から取り出していく。特に資源の乏しい日本においては、海洋資源に対しどのようにアプローチするかが非常に重要になってくるはずです。 そのような中、無機化学の技術を活かし、次世代を革新する吸着材料を生み出す研究に取り組んでいます。その吸着材料にとって重要なのが結晶です。自然界での成長メカニズムを活用し、結晶の育成に取り組んでいます。 液中にあるものを自在に取り出し、時にはエネルギーを、時には無機物・金属・有機物を生み出していく技術こそが次世代の世界をリードしていくものとなるはず。日本の技術者として、その先端を切り拓く存在であり続けたいと思っています。液中にあるものを自在に取り出す技術が次の世界をリードする。 カーボンナノチューブなどナノメートルレベルでの現象やメカニズムの解明を通して、マクロな水浄化へとアプローチを図っていく事が私の研究です。 ナノの世界、原子レベルの現象からアプローチする事でより緻密な材料設計が可能となると考えています。水に溶け込んでいる有害物質の分離を実現する新しい炭素材料を生み出していくことなどで、次世代の水を守っていくこの研究は、人類にとって大きな意義を持つ取り組みであり、そこには研究者としての大きなロマンも感じています。 私は現在、私たちが通常見ることができない地下水を可視化する研究を進めています。 地下水が、いつ、どこで涵養し、地下をどのような経路で流動してきたかを明らかにすることで、水資源の保全や地下水汚染問題の解決を目指しています。 湧水や井戸などの地下水は水源地から数十年という時間を経て、私たちのもとに辿り着いたものです。今日の雨は数十年後の人々の飲料になる。地下水を守るということは、数十年後の人々を守るということと同じなのです。地下水を守る、それは、数十年後の人々を守るということ。ナノの世界からのアプローチで次世代の水を守っていく。Shinji Nakaya土木工学科 教授中屋眞司Katsuya Teshima環境機能工学科 教授手嶋 勝弥9Takuya Hayashi電気電子工学科 教授林卓哉

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