2015工学部案内|信州大学
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 私は、建物単体を捉えるのではなく、その建物が立つ地域の歴史や生活文化も踏まえることが重要だと考えています。その一つの研究が、山地である長野県に存在する大学として、山岳文化の象徴である山小屋に関する調査です。 各地に立つ建物は、その地に生きる人々の長い経験によって紡がれたもの。特に山小屋は厳しい自然環境と向き合う建造物です。そこに刻まれた人々の魂を受け継ぎながら、次代に拓かれる建築を創造していきたいと考えていますし、これからを担い、創造していく学生の皆さんにもそのような数多くの経験の機会を提供し、肌で感じてほしいと考えています。 今、私は木祖村の景観計画に携わっています。木祖村は、木曽川源流、県央やや西よりに位置し、山間のとても穏やかで美しい自然に恵まれた、人口三千人ほどの村です。 このような村の景観計画を行う上で大切なこと、それは、最大限、地域に寄り添う事だと私は考えます。 地域に対する深い愛情なくしては、どのようなまちづくり、むらづくりも成り立ちません。地域への思い、またそうした思いをもった人々の顔が感じられる景観計画を目指していく。そして、生きる人々を基盤に次代のカタチを模索していく、この取り組みの先に新たなまちづくりの可能性を拓いていきたいと強く思っています。建物が立つ地域の歴史や生活文化を踏まえることが重要。地域への想い、それこそが次のまちづくりに大切な視点だと思う。日本とは異なる山岳文化を有するスイスへの実地調査の様子建築学科 教授土本俊和Toshikazu TsuchimotoMikiko Terauchi建築学科 准教授寺内美紀子Bea newengineeringpioneer312新・工学の先駆者へ

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