2015工学部研究紹介|信州大学
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スプーンを叩いて飛行船をコントロール。MagicalSpoonsは、情報通信の原理や仕組みを理解するための教材。全国で約10,000人が利用情報⼯学科⾹⼭研究室研究から広がる未来卒業後の未来像香山研究室では、人工知能技術を応用した学習支援工学に関して研究しています。ヒトが有する知識の中で、特に身体知:巧みな動作・行為を可能にしている能力に着目し、芸術(歌唱や美術)やスポーツの練習を対象としたスキル学習支援環境の構築、アルゴリズム的思考法やモデリング/抽象化能力育成環境の整備、情報科学の原理を学ぶためのハンズオンでタンジブルな教材の開発などに取り組んでいます。また、音響情報・生体情報に対するデータマイニング手法・最適化アルゴリズムの開発など、ヒトが発する多様な行為・信号に対する知的な処理の実現も目指しています。“ヒトの学習活動に対する工学的な支援の実現”が香山研究室での研究活動です。ヒトは、学校での「お勉強」のみならず、習い事や資格取得、礼儀作法や育児など、様々な場面で学習を必要とします。学習時の「なぜ間違うのか。どのように間違うのか」を知識処理技術を用いて解明します。そして、教育工学の技術で、効率的かつ効果的な学習方法論を具体化します。これは経験的な暗黙知の具体化でもあります。ヒトの研究では、人間の素晴らしさや賢さと同時に、曖昧でいい加減で移り気であることも体感します。ヒトに対するモノつくりやコトつくりの場面ではこの経験が活きてきます。また、身体知研究を通して、操作デバイス開発からWebシステム開発まで、情報工学の幅広い知識が獲得できます。香山瑞恵准教授電気通信大学大学院情報システム学研究科助手、専修大学ネットワーク情報学部助教授を経て、2007年より現職。研究分野は教育工学・人工知能。特に、スキル学習や協調活動への工学アプローチによる支援。デジタル・ドローイング(デジタルペンを用いたドローイング)を自動解析し、アドバイスを生成[美術専門学校との連携研究]Learning Technology / Learning Science :⾝体知を、⼯学的に、科学する!耳介近傍の音圧分布を数値シミュレーションで算出。人の耳や頭部の形状が音波に与える影響を予測した無響室(音が響かない部屋)内に設置された音場制御用スピーカアレイシステム。後ろに見える楔の中には吸音材が詰まっている情報⼯学科⼤⾕研究室研究から広がる未来卒業後の未来像人の聴覚は、単に音を聞くだけではなく、音に含まれる情報から音源そのもの、そしてその人の周囲の空間の情報を得ています。目を閉じていても、我々が対話相手がいる方向や車が近づいてくる方向を認識することができるのはこのためです。音に含まれるこのような空間的情報を正確に再現することで、あたかも自分が違う場所にいるかのような真の臨場感を伴った音再生技術や情報通信ネットワークを介して相手の実在感をも伝える次世代のコミュニケーション技術を実現できます。他にも、視覚障碍者に音で様々な情報を伝える等、様々な技術に活用することができます。こういった立体的な音再生技術がいつでもどこでも使えるようになれば、例えば、コンサートホールやスタジアムでのイベントにまるでその場にいるかのように遠隔から参加したり、あるいは、遠くにいる家族や友人と、まるで同じ場所にいるかのように話をすることが可能になります。解決すべき課題はありますが、同研究室の学生たちは、こういった未来の技術の実現に向けて日々研究に打ち込んでいます。同研究室で学んだ学生たちは、電機メーカ、音響機器メーカ、に就職して活躍しています。また、研究を進めるうちに身に着くハードウェア・ソフトウェア技術を生かして、様々な業界で活躍することができます。大谷真准教授京都大学・大学院了。博士(工学)。富山県立大博士研究員、東北大GCOEフェローを経て、09年より信州大学工学部助教、11年より現職。音の立体再生技術、音のコンピュータシミュレーションの研究に従事。未来の『⾳』再⽣技術-臨場感を創り、実在感を伝える-50

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