2015工学部研究紹介|信州大学
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情報⼯学科川原研究室(⼯学基礎教育部⾨)研究から広がる未来卒業後の未来像ノルウェーに設置した高出力ナトリウムライダー用レーザーの一部。レーザ波長の超精密制御を行う夜空に向けて射出される黄色のレーザー。オーロラ活動時の大気温度の空間変動を調べるため、5方向に射出川原研究室では、レーザー光を用いて大気を観測する「ライダー」という観測の技術開発と、観測結果の解析から大気物理の解明を研究テーマとしています。南極や北極という過酷な地で安定して観測が出来る高性能ライダーは世界でも有数の結果を上げています。極域では磁力線に沿って宇宙から荷電粒子が降り込み、高度100km近辺の超高層大気に達してオーロラが光ります。このような宇宙からのエネルギー流入により、地球大気はどのような変動をするのか。下層大気からの波動がどのような影響を及ぼすのか。などを研究しています。川原琢也准教授東北大学大学院で火星探査衛星の観測機開発を行い博士学位を取得。1995年から信州大学でナトリウムライダーの研究に従事。南極越冬隊員。その体験談に科学を絡め、長野市内の小中高校で講演多数。現象を観測器を通して把握する以上、その原理の理解はエンジニアの基本で、その教育を徹底指導しています。学生は研究テーマを通して若いうちに様々な体験をすることで世界観を広げます。他の人と別の体験が自分の領域を広げます。そのように視野を広げた学生が、社会で活躍することを期待しています。レーザー光を⽤いて地球⼤気と宇宙との境界領域を探る。極域⼤気の温度変動を計測川原研究室では、エンジニアリングサイドから地球物理という理学分野へのアプローチを行っています。ライダーを用いた大気観測の歴史は古いのですが、レーザーが常に技術進歩を続けるため、新しいレーザーを用いた新しい観測が生まれています。これからも観測技術は進化を続け、さまざまな「謎」を明らかにするでしょう。例えると『人間が作ったレーザー光を用いて、神が創造した地球の神秘を調べる機会を与えていただき、頑張ったご褒美に真理の一部を少しだけ覗かせていただいている』という気持ちです視線検出を利用したソフトウェアキーボードの研究。ディスプレイ下部のUSBカメラで利用者の眼の動きを検出している脳波を利用したインタフェースのシステム構成図。特定の刺激を意識したことを、脳波から察しようとする試み情報⼯学科橋本研究室研究から広がる未来卒業後の未来像橋本研究室では、身体の様々な情報を取り出し、医療やコミュニケーションに利用することに取り組んでいます。通常の機器ではコミュニケーションをとりにくい障がい者の支援方法にも取り組んでおり、最近では視線を利用した入力装置や視覚や聴覚による刺激に対応する脳波を解析した入力手法を研究しています。医療に役立つ分野の計測として、加速度センサによる身体のバランス評価やいびき音の解析など、体にまつわる広い分野を手掛けています。ヒトが行動しようとするとき、身体からは様々な情報が発せられています。自分が興味を持つものに視線を向けるでしょう。脳波や筋電位は思考や行動に伴って発生する身体の電気的変化の表れです。このような様々な身体の情報で何が分かり、何に利用できるかは尽きません。ユビキタスの社会への入り口として、誰でも自然に扱えるインタフェースを目指しています。約半数の学生は修士課程に進みます。主たる就職先は情報産業・電機メーカーですが、研究に興味をもち、医療機器メーカーに就職する学生もいます。橋本昌巳准教授長野県情報技術試験場を経て、1994年より信州大学助手、2007年から現職。研究分野は生体情報計測やヒューマンインタフェース。⾃然なヒューマンコンピュータインタラクションを⽬指して49

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