2015工学部研究紹介|信州大学
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物質⼯学科卒業後の未来像研究から広がる未来酒井研究室界⾯を理解して、界⾯を制御する!コロイド・界⾯化学が拓く“ものづくり”油と水の混合(乳化)、微粒子の粉砕・分散、化学反応などにホモジナイザー(歯車高速回転式撹拌機)や超音波照射機を使用しています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm酒井俊郎准教授株式会社コンポン研究所・ニューヨーク州立大学・東京理科大学・信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点を経て、2012年より現職,研究分野はコロイド・界面化学水中に油滴が分散しているエマルションの光学顕微鏡像。エマルションは、化粧品、食品、医薬品分野などで利用されています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦8.15cmO/W物質⼯学科地上の70%、体内の70%が水と言われていますが、均一な溶液はほとんど存在せず、その大半が分子集合体や液滴、固体粒子が分散したコロイド分散系となっています。すなわち、自然界や生体は、コロイド分散系から構成されていると言っても過言ではありません。コロイド分散系は、液体中に微小空間を形成していることになります。酒井研究室では、この液体中の微小空間(ミセル・液滴・気泡)を利用して、ナノメートル(nm)(10億分の1メートル)~マイクロメートル(m)(100万分の1メートル)サイズの材料創製に取り組んでいます。科学技術の進歩に伴い、製品は小型化し、性能は日々向上しています。酒井研究室では、さらなる高性能化を目指して、高純度コロイド材料の製造技術の開発に取り組んでいます。例えば、乳化剤を使用しない乳化技術や還元剤を使用しない金属ナノ粒子合成法の開発です。この技術は、近年の環境問題や資源枯渇問題などを克服する低環境負荷・省資源・省エネルギー型材料創製技術になりえるものと期待しています。コロイド分散系は、自然界、生体における重要な構成要素です。そのため、コロイド分散系は、様々な分野(例えば、化粧品、医薬品、塗料、洗浄剤、食品、触媒、表面加工分野など)で応用されています。微生物培養はかかせない大切な作業(左)タンパク質の同定を行う電気泳動の準備(右)チームワークも大切微生物の動きに合わせてセルロースも網目構造になるセルロースを生産する微生物。黒点がある所がセルロース繊維⽔野研究室研究から広がる未来卒業後の未来像セルロースを作る生物は、植物だけではありません。微生物も作ることができるのです。水野研究室では、微生物に存在するセルロース合成タンパク質(=紡糸装置)に着目し、その機能と性質について研究をしています。この紡糸装置は細胞膜の内側から外側にまたがる様に存在し、セルロースを伸ばしていく部分と、何本かのセルロースを束ねて細胞の外に排出する部分からできています。現在までに、この装置の数と配置の仕方が形状に大きく影響することが分かっています。微生物セルロースは、ナノファイバーや生体適合材料としての利用が期待されています。目には見えない小さな紡糸装置ですが、例えば人工細胞膜上に自在に配置することが可能になれば、多様な太さや長さをもったセルロースナノファイバーを調製することが可能になるかもしれません。このように、微生物の中には、数十億年の進化に裏打ちされた究極のモノ作りのシステムがつまっています。ヒントを求めて目を向けると、まだまだハッとするようなシステムを見つけられるかもしれません。大学での研究分野と社会で活躍する分野とは必ずしも一緒ではありません。化学系・電気機器系・食品系、公務員など様々な分野で、元気に活躍しています。水野正浩助教東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程を終了後、日本学術振興会特別研究員を経て、2006年より現職。専門は、タンパク質のX線結晶構造解析。特に酵素の機能解析を中心に研究を進めている。微⽣物が作り出す“セルロース”〜驚異の紡⽷装置の解明を⽬指して〜1.0 μm1.0 μm46

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