2015工学部研究紹介|信州大学
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卒業研究で人々の意識を調べた結果、『風景としては雑然としすぎて良くないが、橋そのものは結構良い』との評価が得られた大阪の港大橋橋の橋脚として使われる鉄の柱が地震で揺れた際の、コンピューターシミュレーション結果。最初は真っ直ぐだった柱が、最後は完全に折れ曲がっている清⽔研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科「橋」とは・・・川や海を渡るための交通路?それなら、神社やお寺の入口にある太鼓橋は何のため?清水研究室では、橋を、その力学的な強度の面・デザインや橋に対する印象を多角的に研究しています。力学面では、主として、橋が外力(地震力など)を受けた時、どのように変形し、どのように壊れるか、といった研究が主体です。デザインや印象面では、橋の色や形がどのような印象を与えるか、などの内容が主体ですが、江戸の街の橋が当時の人々にどのように思われていたか、といった研究もしています。力学面の研究は、一口で言えば、橋の壊れ方の研究です。橋の「壊れ方」と「壊れるときの力のかかり具合」がわかれば、橋のどこをどのように補強すれば良いかがわかるからです。と言っても、実際に本物の橋を壊すわけには行きません。ほとんどがコンピュータによるシミュレーションです(たま~に実験もありますが)。デザイン・印象面の研究は内容が色々ありますが、要するに、(良い意味で)印象に残る橋を設計するにはどうしたらよいか、ということです。研究方法も、色々の橋の風景を見たり、江戸時代の地図を見比べたりと、様々です。清水研究室の卒業生の進路は、官公庁・鉄道会社・建設会社など、多岐にわたっています。もちろん橋の会社に就職する学生も大勢います。橋の会社に入った卒業生の中には、話題のあの恐竜の橋~東京ゲートブリッジに携わった方もいるそうです。清水茂教授長野県上田市生。信州大学・名古屋大学大学院博士課程を出て信州大学勤務。専門は橋梁工学。奥裾花橋梁景観検討委員会(委員長)、天龍峡大橋景観・構造検討委員会などの委員を歴任。橋の安全性は?橋のデザインは?⼈々の⼼の中で橋の位置づけは?河川氾濫時の避難行動シミュレーション。避難行動の影響要因を分析することによって、安全計画のための情報を得る連続繊維シートによる鉄筋コンクリートはりの補強効果を調べる。各補強パターンによる亀裂発生状況の違い⼤上研究室研究から広がる未来卒業後の未来像⼟⽊⼯学科大上研究室では、土木分野におけるコンピュータを利用した数値解析・計算手法に関する研究を行っており、それぞれの問題に応じて各種アプリケーションソフトを利用して解析を行ったり、解析プログラムを独自に作成したりして研究を進めています。例えば、情報化施工に向けた材料物性値の同定解析・逆解析手法、河川氾濫やトンネル火災などの災害時における避難行動のマルチエージェント・シミュレーション、偏微分方程式の近似解法としての各種数値解析手法の効率化、地すべり発生に対する危険度の評価方法、等です。数値実験には、材料や大きさ、環境の制約を受けない、特殊な設備がいらない、短期間に実施できるなどの利点があります。特に、対象とする問題が災害などのように実験による検証が困難である場合、シミュレーションにより災害の支配要因を明らかにしたり、災害対策の効果を予め把握することも可能となり、防災計画に有益な情報を提供できるようになります。同研究室の卒業生は、国土交通省や県庁、市役所などの官公庁、JR、建設会社、コンサルタント等へ就職して、幅広い分野で国土の整備や地域の発展のために活躍しています。大上俊之教授岐阜県土木部、信州大学助手、助教授、准教授を経て現職。主な研究分野は構造工学、地盤工学における数値解析、物性値同定解析。⼟⽊⼯学分野のさまざまな問題をコンピュータを利⽤して表現・解析する29

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