2015工学部研究紹介|信州大学
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⻄村研究室欠陥を有する三層カーボンナノチューブ(TWCNT)の圧縮解析:欠陥から座屈が引き起こされるため、座屈強度に違いが生じる金属ガラスに対する押し込みシミュレーションにおける原子ひずみ分布:圧子押込み深さが増すに従い、圧子直下にひずみ(変形)が集中するせん断帯が生じる-0.05-0.04-0.03-0.02-0.010-50-40-30-20-100Strain , zzStress , zz, GPa Non-defectiveDefectiveNon-defective TWCNT at buckling pointDefective TWCNT at buckling point(a) Depth = 2nm(b) Depth = 4nm(c) Depth = 5nm50nmAtomic strain, γ 0.0 0.5研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科技術発展に伴う製品の小型化により、材料に求められる寸法はどんどん小さくなっています。ナノスケール材料とは、材料寸法が数ナノメートル[nm](=10-9[m])であったり、特徴的な構造がnmレベルに存在するような材料です。材料寸法が小さくなると相対的に原子一つ当たりが占める割合が大きくなるので、材料を原子の集合体として評価する必要があります。そこで本研究室では、原子間に生じる相互間力を分子動力学法という計算手法を用いて評価し、材料の変形をシミュレーションすることで、ナノスケール材料の変形メカニズムについて検討しています。西村研究室では、計算機シミュレーションにより、様々なナノスケール材料を検討しています。例えば、新炭素材料であるカーボンナノチューブ(CNT)は、半径が数ナノメートルの円筒形状をしている代表的なナノスケール材料です。また、結晶化していない金属ガラスは、数原子程の短距離秩序しか持たない材料です。原子レベルからの変形メカニズムを理解することで、これらの新材料がさらに発展し、我々の身近な材料となることが期待されます。卒業生の進路は、自動車メーカーや家電メーカーなどと多岐にわたります。本研究室で培われる材料変形の理解力や計算機を用いたシミュレーション技術の体得は、社会に出てからも役に立ちます。西村正臣助教2009年神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。同年より現職。研究分野は分子動力学、計算固体力学、材料力学。ナノスケール材料の固体⼒学原⼦レベルから変形メカニズムを理解する細野研究室パルスYAGレーザ光は目に見えないがあまりに高いエネルギが狭い空間に集中することで大気がプラズマ化して激しく発光する実験風景。左奥に見えるのがレーザ発振器、机のように見えるのが光学除振台でその上に実験環境が構築されている研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科レーザ光線は時間・空間的に小さな領域に高いエネルギが集中した特殊な光です。細野研究室ではこの光を使って小さな穴をあけたり細かな溝を彫ったりする研究をしています。レーザは便利な光ですが物に当たると溶けた材料が飛び散り周りにくっついて汚してしまう欠点もあります。そこでこういった加工を化学薬品の中ですることで飛び散ったものを溶かしてしまえば、きれいに加工できる上に加工が速くなる効果もあるのです。このように、レーザ加工と化学反応やその他の現象を組み合せることで新しい加工の世界を切り拓いています。炭化ケイ素やサファイアといった次世代半導体材料は優れた電子的性質がある一方で非常に硬く加工が難しい問題があります。レーザ加工はダイヤモンド工具のように実態のある工具を使わず光を使うことで硬い材料に対応しやすい利点がありますが、その産業的な実用化のためには様々な課題の解決が必要です。今後レーザ加工の高度化を進めれば次世代半導体材料の加工への応用が容易になると期待されます。細野研究室での研究は実験を中心に展開し、実験に使う道具は自分で工作しています。これらを通して機械材料の性質や半端な理論通りには実験結果の出ない自然科学の世界を肌で実感し、足腰の強いエンジニアとなることができるでしょう。細野高史助教東京工業大学理工学研究科機械物理工学専攻修了後、2006年より現職。研究分野はシリコン等を対象としたレーザ加工の高度化と軽金属合金基カーボン複合材料の開発。レーザ光線を使ってユニークな加⼯を実現したい15

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