地域と歩む|信州大学地域戦略センター
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スタートしたのは平成19年。感性工学課程での教育・研究の成果を活かしたいという大学・学生側の意欲と、信大の若い力を地域に活かしたいという上田市の期待がマッチして、上田駅前の上田図書館情報ライブラリーの一角を利用させてもらっている。年2回の製作会の開催に向けては、オリジナル絵本の製作を求める市民を上田市報などで募集もしている。スタッフの祖父ぐらいの年配の方が、ご自身のおじいさんから聞いた民話を絵本に残したいと申し込まれたり、3歳のお子さんをお連れのご夫婦が、お子さんが大人になった時に「こんな時代があったのか」とふり返る素材を作りたいとお越しになったり、要望は様々。「お求めになる方と作り手が製作プロセスを共有することで、制作されるモノには金銭では換算できない価値が生まれることを実際に感じています。そういう人と人とのつながりが広がっていくと素晴らしい社会になるのではないかと思います」と前代表の石田小菜美さん(感性工学課程4年)は話す。「オリジナルの絵本をお求めのお客様と対話を重ねることで、出来上った絵本の感性価値が高まると思います」と語るのは繊維学部の学生でつくる有志団体=「共創デザインラボ」代表の清水甲斐君(繊維学部3年生)。感性工学課程の学生が中心で作るこの団体は、大学で学ぶ感性工学を現実の社会の中で実践・実証することを目的に、オリジナルの絵本を求める市民と、ライター・デザイナー・プロデューサー役の学生たちとの共同・共創(ともに創ること)で、絵本製作を進める。春と秋の製作会があり、それぞれ2~3組のお客様を迎え、合計約6冊の絵本を製作している。大阪市出身 信州大学繊維学部卒 大学院工学研究科修了 平成9年上田市役所入庁、以来13年間地域における産学官連携の業務に専従。平成22年3月上田市役所を退職し、現職に専従。岡田 基幸 特任教授AREC事務局長兼産学連携コーディネータ信州大学繊維学部(産学官地域連携)、工学博士地域企業との産学連携に焦点を当てているため、上田市をはじめ東信地域の様々な業種の企業と関係が深い。写真は東信地域の漬物業者の視察の際に、パッケージやラベルについて参考意見を求める若手事業者。地元企業への若者の定着、U・Iターンの促進のための取組みにも力を入れている。写真は、ARECも協力して東京で開催した信州の若者1000人会議のひとこま。信大生も信州の魅力発信に尽力した。農・商・工の異業種連携でも橋渡し役を果たしている。LEDを使用した新種のキクラゲ栽培のサポートも耳に新しい話題。写真は、商工者とともに上田市丸子の直売所「あさつゆ」を視察した際のもの。地元企業と密接に連携現場の声に耳を傾けるU-Iターン促進のため多様な活動を展開農商工の連携でも橋渡し役を果たすストーリーや絵図についても、どのようなコンセプト・雰囲気にするか意見を交換する。デザインや色合いの話は難しいという。ストーリーや絵図についても、どのようなコンセプト・雰囲特任教授も兼務する岡田基幸さんが文部科学省の第1回イノベーションコーディネーター大賞で文部科学大臣賞に輝いたほか、地域力連携拠点事業優秀拠点関東経済産業局長賞(平成20年)、中小企業庁が全国の優れた創業支援などの取組みを表彰するJAPAN Venture Awards2007地域貢献賞(平成19年)など、多くの賞を受賞している。このARECの取組みを先頭で牽引するのが繊維学部卒―大学院工学研究科修了の岡田基幸AREC事務局長だ。繊維学部をはじめ信大の多くの教職員・学生と、地域企業・地域社会との繋がりを作り出してきた岡田さんは「信州大学には多くの研究シーズと優れた人材があり、地域社会や企業の皆さんは、その力を発揮してくれることを待ち望んでいます。学生や卒業生、それにつながる若者の力で、大学と地域・企業との接点を広げて行くことができれば、〝学生の街・上田〟は、さらに大きな飛躍ができると信じています。ARECはそんなお役に立ちたいです」と笑顔で語った。市民と共に創る手作り絵本「共創デザインラボ」「大学と若者の力を地域づくり活かして」製作日にはオリジナル絵本を求める市民と、製作側の学生スタッフが十分に意見を交わして、納得のいく絵本作りを進めている。712014.01.31 掲載

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