2012環境報告書
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イタリアでは、観光客が捨てていくごみが大きな問題となっています。ポイ捨てはもちろんですが、年間4400万人が訪れるヴェネチアでは、膨大なごみの量になってしまいます。ごみの処理というのはもちろん自治体が行っています。イタリアには来て欲しいけれど、ごみを処理しなくてはいけないというジレンマがヴェネチアにはあります。この問題について、自分は本当に考えていたか、という事に気付かされました。自分が海外に行き、そのうちの1人の観光客であることに気付きました。現地の人たちがごみ問題についてしっかりと考えていても観光客が台無しにしてしまっているのです。自分たちが海外に行く時には、その土地の環境についてしっかりと配慮することの重要性を感じました。ベニス カ フォスカリ大学の日本語学科の学生との交流の中で、学生たちが幼少期にどのような環境教育を受けてきたかを聞いてみると、「トウモロコシ作り」や「地球を守ることについての議論」などが挙げられました。しかし、彼らの記憶にはあまり残っておらず、環境教育の必要性の意識に差がありました。もっと記憶に残る環境教育を実践していく事が大切ではないかと思います。ベニス カ フォスカリ大学の学生の「今のイタリアは経済問題もあり、先の環境の事より目の前の利益を追っている」という言葉が印象に残っています。“環境への配慮の差”、というのはその国が抱えている他の問題に影響を受けているということです。私たちが、環境問題について考えられるのも日本が経済的に恵まれているからだ、ということを感じました。今回の研修を通じて、生の声を聞く事、体験する事の重要性を知りました。この経験を実際の教育現場に還元していきたいです。福西 翔吾さん (教育学部4年)ごみから考える環境への意識「環境への意識についてのアンケートを現地学生に実施し、その実態を調査」環境教育の実践04REPORTイタリア人と日本人の環境への意識についてベネト州は高潮対策として水路3カ所に可動式のゲートを78基設置するという“モーゼ計画”を2004年に立ち上げました。しかし、住民からは潟の環境を壊すとして反対意見が多く寄せられているそうです。自治体や住民との意見は折り合わず、環境問題解決の難しさを感じました。ヴェネチアのごみ収集方法は、家の前にごみを置き、それを収集してくという方法です。これも、ごみ置き場が景観を壊してしまうという理由からです。ヴェネチアとしては、ごみによる景観破壊に注意を払っているようですが、街中にはタバコの吸い殻やペットボトル等が沢山落ちていました。このごみは、観光客が原因だそうです。観光客も一人一人が問題意識を持つ事が重要だと思います。この研修を通じて、自分がいかに狭い視野で物事をみていたかに気付かされました。日本だけではなく広い視野で環境問題やごみ問題などを考えていく重要性を感じました。観光地ならではのごみ問題観光客のごみ問題についても考える必要がある「観光都市イタリア」しかし、その裏側には環境への配慮問題を抱えている信大NOW76号より24

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