2012環境報告書
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ITALY「今回の研修を通して、イタリアも日本も目指している方向は同じだということを実感しました。今後は信州大学としてもベニス カ フォスカリ大学やパドバ大学との国際交流を深め、協力して研究を進めていきたいという思いがあります」と田中教授。イタリアの研究者は、環境そしてエネルギーへの意識を高くもって研究に励んでいると感じたという。その思いに刺激を受け、「学生達も、行く前と行った後では、意識が変わり大きく成長したことを感ずる。やはり、自分の足を使い、目で見て考える、ということが大切。今回の研修は、学生達にとって非常に大きな財産になったのではないでしょうか。4名は、それぞれ学部もやりたいことも違いますが、今回感じたことを生かしていってもらいたい」と語った。イタリアでは、再生可能エネルギーの研究が盛んに行われている。さらに、福島第一原発の事故を契機に、イタリア国内でも脱原発への動きが高まっており、特に、太陽光発電や地熱発電への取り組みが注目されている。2011年度には太陽光発電導入量が世界第2位になるなど、着実に成果も現れてきている。「今回は、エネルギー問題や環境問題に取り組んでいるベニス カ フォスカリ大学を初め、パドバ大学やローマ大学、イタリア国立先端技術エネルギー研究所(ENEA)、トスカーナのラルデルロ地熱発電所、ヴェネチア市役所を訪れました。ベニス カ フォスカリ大学のAlvis Benedetti教授を初め、お世話になった方々に心から感謝したい」と話した。国外の環境先進国や開発途上国を訪れ、現地で学ぶことで環境に対する多様な視点を持ってもらうために、本学では環境教育海外研修を行っている。単なる知識を得るだけでなく、自分で考え、実践出来る人材を育成することが目的だ。第4回目となるこの海外研修が、平成24年2月25日~3月4日に渡って行われた。今回の研修は「環境とエネルギー」をテーマにイタリアの3都市を巡った。その内容を広く還元するため、6月18日環境教育海外研修報告会が開催され、多くの学生・教員らが参加した。その模様をレポートする。平成23年度 環境教育海外研修(文・奥田 悠史)「工学部として、環境について何を考えていかなくてはいけないか。やはり、エネルギーだと思いました。昨年の震災による原発事にしました」と引率教員の田中清教授は話す。イタリアというのは、エネルギー自給率が15%と低く、日本とほぼ同水準である。さらに、火山国であるという点も、日本と類似している。「日本と似た環境にあるイタリアがどのようなポリシーでエネルギーを研究し、環境について考えているかについて知る事は重要なことだと考えました」。今回の研修では、信州大学と2010年より学術交流協定(Memorandum of Understanding)を結んでいるベニス カ フォスカリ大学やパドバ大学などに協力してもらい、現地視察を行った。今、見つめ直す環境とエネルギー。─第4回海外研修はイタリア─環境とエネルギーをテーマに巡るイタリアイタリアが進める再生可能エネルギーへの取り組み今後の発展に繋がる研修へヴェネチアトスカーナローマ21信大NOW76号より

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