2012環境報告書
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株式会社クレディセゾン カード事業部 営業企画部 営業戦略グループ環境推進チーム 課長藤原 聡子●1969年 京都府生まれ●1992年 信州大学経済学部卒業●1992年 ㈱クレディセゾン入社 ●2010年 10月より現職。ふじわら そうこさん みなさんは「赤城自然園(akagishizenen.jp)」をご存知でしょうか?群馬県は赤城山の西麓に広がる120haの森で、約30年前から「人間と自然との共生」をテーマに、人が入ることも難しかった雑木林を旧セゾングループが開発した総合自然園です。2008年に一度閉園したのですが、次世代に引き継ぐべきこの素晴らしい森を荒廃させるべきではないと、2009年に当社が購入し、社会貢献活動として運営をはじめました。私はその運営を担当しています。 新卒で入社し、営業10年、本社スタッフ10年で現職になったわけですが、カード会社にいながら環境保全に関わるとは夢にも思っていませんでした。現地には社内公募で選ばれた社員が赴任し日々の現地業務はスタッフとともに行っているので、私の役割は本部での運営管理です。収支計画をつくり、数十年経ったポンプ、浄化槽などをはじめとする施設の補修・入替の社内調整、来園者を増やすための広報活動、PR、ツアー誘致、イベント企画など多岐にわたります。しかし、赤城自然園を理解しなければ何もはじまりません。とにかく現地に足を運び(自宅からは往復約7時間)、23年間園を守り続けている園長に教えを乞い、「座学ではなく、とにかく歩いて自分の体で学ぶこと」という教えに従い、ひたすら園内を歩きました。 赤城自然園は「花を育てるのではなく、環境を整えることで植物が育つ手助けをしている」という方針のもと、ほとんどの植栽を入替え、川や池を造り、豊かな生態系が形成される森になるよう整備を続け、今では、木本類152類、草本類510種、昆虫類1,810種、鳥類77種、哺乳類15種が確認されており、北関東に生息するほとんどの植物をみることができるまでになっています。 担当して2回目の春を終え、自然の営みが少しわかってきたように感じています。それぞれの特徴や植物の生きるため知恵。何年もかけて花が咲くまでに成長するゆっくりとした時の流れ。四季を経験してようやく前年との違いもわかります。これから5年、10年と経ると、もっと長いタームの自然の営みをより深く理解することができるのではないかと楽しみにしています。 自然豊かな信州の地で伸び伸びと学び、その時感じた森の空気、触れた植物は懐かしく私の心に蘇り、今の仕事に役立っています。都会の喧騒の中で働きながら、週に一度は森の中で癒される有難い仕事です。もっと多くの方々に豊かな自然に触れていただき、環境保全の理解を深めていただけるよう努めていきたいと思います。ぜひ皆さんも一度ご来園下さい。 当社渡辺パイプ㈱は、長野県小諸市高峰高原でアサマ2000パーク(スキー場)を運営しております。その他、主に春から秋にかけての登山客や観光客をターゲットに、アサマ2000パークの敷地内に高峰高原ビジターセンターを置き、そこを拠点に「NPO法人浅間山麓国際自然学校」を運営しております。高峰高原は、上信越高原国立公園内に位置しており、当自然学校は2008年に環境省から民間NPO法人では初の国立公園管理団体に指定されました。周辺の自然環境保全を目的とし、国立公園の利用についての啓蒙活動や調査研究を行っています。その他、当自然学校では主に浅間山周辺のネイチャーガイド(図1)や登山ガイド、環境教育の企画・運営を行っております。 当自然学校の大切な役割の一つに、周辺の自然環境を後世に伝えていく事があげられます。具体的な例として、6月に山が朱色に染まるレンゲツツジ群落(図2)で有名な、長野県東御市の湯の丸高原で、地元東御市や小諸市、群馬県嬬恋村の子供たち、また東京など他地域の子供たちも巻き込んで、減少しつつあるその群落保全のための森林整備活動を行っています。この活動では、湯の丸山にレンゲツツジ群落が形成された歴史や人と自然の関わりを、森林整備体験を通して、子供たちに伝えています。 また、浅間山麓の大きな魅力の一つであり、近年特に力を入れているのが、浅間山の「火山ガイド」です。2004年にも中規模噴火を起こした浅間山は現在も活動中でありながら、しっかりとした監視や調査がなされています。そのため、噴火警戒レベルが最も低い「レベル1」では、小諸市側の登山道から前掛山(火口から500m)まで登ることが可能です。また、浅間山周辺の水ノ搭山や篭の登山、高峰山、黒斑山といった山々も、浅間山が噴火を始めるずっと以前に活動していた一連の火山であり、火山活動の歴史や山の成り立ちを学び、体験できる絶好のフィールドです。現在の日本において、これほど身近に火山を“体感”できる場所は非常に珍しく、貴重です。この自然環境を訪れた人々に伝えようと、当自然学校に所属するインタープリター(自然ガイド)らと協力し、火山に関する研修会を何度も開催し、お客様に魅力が十分伝わるインタープリテーションができるよう、試行錯誤の日々であります。 目指すのは、ここでしかできない自然体験。そして、大人も子供も含め訪れた方達が、これまで以上に自然環境に目を向けるきっかけを作っていきたいと考えます。プロフィール環境と生きる人づくり渡辺パイプ株式会社浅間山周辺のネイチャーガイドの様子レンゲツツジの群落■2012年開園日春 : 4月 7日(土)~ 6月10日(日)夏 : 7月13日(金)~ 8月26日(日)初秋 : 9月14日(金)~10月 8日(月・祝)晩秋 : 10月19日(金)~11月18日(日)■開園時間9:00~16:30 ※入園は15:30まで■アクセスお車:関越道赤城ICから10分電車:JR渋川駅からタクシーで20分後藤 彩●2006年3月 信州大学教育学部学校教育教員養成課程 卒業●2009年3月 信州大学大学院工学系研究科 地球生物圏科学 修了●2009年4月 渡辺パイプ㈱入社 浅間山麓国際自然学校へ出向ごとう あやさんプロフィールくろ ふやまみず のと やまと やまかご17

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