2012環境報告書
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◎特集1◎ 震災への取組み環境保全は農と暮らしを守ること。栄村の復旧・復興に協力「信大農援隊」 長野県北部地震で被災した栄村に復旧・復興支援のボランティアに赴いているのが、農学部の学生・教職員のグループ「信州大学農学部栄村震災復興支援隊(略称:信大農援隊)」です。2011年4月からすでに30数回。2012年もゴールデンウィークから活動を開始しています。 「環境・景観は、その地の農業や暮らしによって守られています。それを支えるのが農学です」(農学部 植木達人教授)という思いを出発点にして、現地=栄村の人々との交流の中で、環境と農業を実践的に守り、「農学部らしい協力」を進める「信大農援隊」の活動にスポットを当てました。 信大農援隊の今年度の活動は、4月29日から開始されました。田植えや作業道・水路の整備、仮設住宅の掃除、壊れかけた土蔵からの荷物搬出、そして村民の方々との交流…毎回、朝5時半に南箕輪キャンパスを出発する〝強行軍〟ですが、栄村復興支援機構「結い」(相澤博文代表)との連携のもとに、いろいろな作業に元気に携わっています。 今春行われた新規隊員募集の説明会には、新たに南箕輪キャンパスに来た新2年生を中心に50人も集まりました。昨年度1年間の活動が評価され学長賞・農学部長賞などの学生表彰や、国立大学協会からの支援もいただけるようになったことも良い影響を与えてくれています。 信大農援隊が昨年活動を開始したのは、今年と同じく4月後半。雪解けとともに農作業が一挙に忙しくなる時期でした。春先は、田植え用の苗を育てるための「苗伏せ」という作業を村民とともに進め、灼熱の夏は、汗にまみれながら農業用水路の補修に励みました。また、盆前には被災して水のはれない水田の一部にそばの種をまき、秋も深まってからは、それを収穫して、「福幸そば」と銘打って商品化するお手伝いなど2012年度、大所帯で支援活動始動「元気をもらい農業を続ける気に」もさせてもらいました。 「自分たちは本当に役に立っているのだろうか?」-始動当初は、そんな疑問を胸に抱いていましたが、1年を経て、「信大生が来てくれて元気が出た」「被災直後はもう農業を止めようかと思ったが、若者に勇気付けられて再挑戦する気になった」という村民の方の言葉もいただけるようになり、参加する学生・教職員は様々なことを体と心で学んでいます。「人と繋がり、人の力で環境を守る」 「被災した農地を復旧し、農業再開のお手伝いをするのは、農学を志す者にとっては当たり前のことだと思うのです。そういう人を育てるのが農学部だと思います。農村では、人々が繋がり、力を合わせることで苗代づくりの作業を支援。2011年春、被災直後の栄村で環境の守り手、農学部の力の見せどころ 9

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