複合素材工学講座


主な研究テーマ



・噴流層装置におけるガスの流れの改良

・ドラフトチューブ付き噴流層の圧損、  ガスおよび固体粒子の流れ

・合成高分子のゲル化

・天然物多糖のゲル化

・高分子の結晶化過程

・非晶性ポリマーブレンドの熱力学的性質

・結晶性ポリマーブレンドの結晶化過程


研究内容

・噴流層装置におけるガスの流れの改良

 噴流層装置は全ての固体粒子がよく混合するという長所を持っています。しかし、この装置には、送入されたガスのかなりの割合が固体粒子の希薄相である噴流部のみを通過して、環状部の濃厚粒子相を浸透することなく排出されるという欠点があります。当研究室では、装置の構造を変えることによって、全てのガスが環状粒子層を浸透するよう改めました。この改良によって噴流層の気固接触性能は向上しているはずで、現在はこれを調べています。

・ドラフトチューブ付き噴流層の圧損、ガスおよび固体粒子の流れ

 ドラフトチューブ付き噴流層は、固体粒子の充填高さに制限がない、粒子が環状部を通過する1サイクルの滞留時間がより均一になるなどの利点をもっています。が、この装置は特に気固接触の性能がよくありません。当研究室では、ガス送入法を変えることによって、この装置の気固接触性能を向上させました。また、これによって装置の圧損が軽減され、粒子の循環速度も増すことがわかりましたので、これらの詳しい特性を調べています。

・合成高分子物理ゲルのゲル化

 高分子は、原子が1次元的に長く繋がって出来る鎖状の分子です。結晶性の合成高分子は、溶液中で微結晶をつくります。この微結晶から出ている結晶化していない高分子鎖は微結晶と微結晶の間をつないで溶液中で網目状に広がりゲルを形成します。ゲル化過程に及ぼす高分子の分子量の影響、溶液濃度の影響を調べています。

・天然物多糖のゲル化

 生物が生産する高分子の中で、多糖類は主に生物の体を形づくっている高分子です。それゆえ、多糖は水溶液中で高分子同士がくっつきあって会合体を形成する性質があります。多糖の水溶液中でのゲル化のメカニズムについて研究しています。

・高分子の結晶化過程

 高分子のように長いひも上の分子が結晶化するためには、分子がある方向に沿って1次元的に配列しなければならず、低分子に比べ、結晶化の挙動は複雑なメカニズムを持っています。当研究室では、高分子の結晶化に及ぼす高分子の分子量の影響や結晶化温度への依存性等について調べています。

・非晶性ポリマーブレンドの熱力学的性質

 高分子は原子が1次元的に長くつながって出来る分子であるために、異なる種類の高分子どうしを均一に混ぜる(ブレンドする)ことの非常に困難な物質です。しかし、その一方で異なった性質を持つ高分子どうしをブレンドすることにより、それぞれの高分子の特性を生かして、優れた試料をつくることが出来る可能性があり、ポリマーブレンドは工業的応用の期待されている材料です。それゆえ、ポリマーブレンドがどのように混ざりあっているのか、その混合特性(相溶性)を調べることは重要な課題です。当研究室では、ポリマーブレンドの相溶性と相溶性がブレンドの物性に及ぼす影響について調べています。

・結晶性ポリマーブレンドの結晶化過程

 現在知られているよく混ざる(相溶性の良い)ポリマーブレンドの多くは結晶化することのない(非晶性の)高分子どうしの組み合わせがほとんどです。しかし、中には、結晶性高分子を含み、なおかつ相溶性の良いポリマーブレンドもわずかながら知られています。当研究室では、結晶性高分子と非晶性高分子のポリマーブレンド中での結晶性高分子の結晶化に及ぼす成分高分子の分子量の影響や、分子間相互作用の影響等について調べています。


メンバー紹介

服部博嗣 助教授   高橋正人 助教授

丸山正幸 技官

D2 1名     M2 3名

M1 4名     B4 8名

服部博嗣

助教授

研究分野:化学工学(気固系接触装置)

略歴  :1966年 名古屋工業大学卒

     1966年 信州大学助手

     1982年 同講師

     1988年 助教授

高橋正人

助教授

研究分野:高分子物性・高分子物理学

略歴  :1980年 東京農工大学工学部卒

     1986年 東京工業大学大学院(理工学研究科博士課程)修了

     1986年 東京都立大学助手(工学部)

     1991年 信州大学助教授(繊維学部)


精密素材工学科のホームページにもどる