現在,University of California, Irvine Medical Center (UCIMC)に留学中の藤永康成です.
昨年8月末に渡米してあっという間に4か月が過ぎました.
Irvineはロサンゼルスの少し南に位置し,San Diegoまで1時間半ぐらいの距離です.大学自体はIrvineにあるのですが,附属病院であるUCIMCはIrvineから車で20分ぐらい北にあります.近くにはDisneylandやAngels
Stadiumがあるのですが,松井選手の試合が見られなかったのは少々心残りです.1月の松本は氷点下の日も多いと思いますが,こちらの最高気温は20度前後ととても温暖です.休日に,公園やビーチに散歩しに行くと,とてもすがすがしい気分になります.日本食のスーパーやレストランも多く,食べ物にも困りません.一方で,英語を話さなくても生活できてしまうので,自分で積極的に行動しないと英語は習得できないかもしれません.
私の場合,個人的な事情で6か月という短期間の留学でしたので,できることは限られていると思っていました.その中で,興味があるMRIに関する知識を得ることと,アメリカの臨床を垣間見ることに目的を絞っていました.残念ながら,新しいMRI装置の稼働は遅れに遅れ,2月までずれこみそうであり,見ることができるかどうかわかりません.一方で,MR thermometryなどの新しいシークエンスについて触れることができ,現場のドクターやテクニシャン達と話ができたことは大変貴重な経験でした.もちろん片言英語ですが,お互いわかり合おうと思えば何とかなるものだということがわかりました.
臨床に関して,アメリカの放射線科医は法的に立場が確立されており,放射線科専門医のレポートなしでは外科的手術はできません.逆に,レポートに対する責任は日本とは比べものになりません.一方,読影業務については分野が細分化されており,それぞれの分野の専門家が必ず読影します.放射線科専門医が多くなおかつ検査が厳選されているために成り立っているのだと思います.すべてが日本に当てはめられるとは思いませんが,見習うべき点は持ち帰り,我々放射線科医の質向上はもとより,医療全体の向上につなげることができればと思っています.
個人的な話になりますが,私は神戸大学を卒業し,金沢大学に入局し大学院を卒業.その後,しばらく北陸の病院に勤務しておりましたが,縁あって信州大学に赴任いたしました.環境の変化は大変なことだとは思いますが,裏を返せばチャレンジができるチャンスではないかと思っています.特に海外留学は環境の変化が大きいのですが,その分だけ多くの物を得たように思います.今回,このような貴重な機会を与えていただき,角谷教授始め,医局の方々に感謝致します.
早いもので,数ヶ月後には帰国します.この気持ちを忘れずに,日本に帰ったら若者達にチャレンジ精神を注入したいと思います.
平成23年1月
アメリカ一人旅の帰路,Palm Springsのホテルにて 藤永康成
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